4-4 純正オイル 10W-30に変更
以前にも述べたようにエンジンオイルの評価を交換直後のフィーリングだけで判断して書いてしまうことは、大きな間違いを犯すことに繋がる。雑誌の記事がどうしても乗り越えられない大きな壁がある。発売日を遅らせられない宿命から逃れることはできず、締め切りに追われる都合上、必然的に交換直後のフィーリングでの評価しかできない。エンジンオイルは1年間、時には2年間の長きに渡って使い続けられることも多く、その間のタレ具合、燃費、走りの変化、車への影響具合を仔細に観察しなければ真の評価は下せない。それに伴って、広告を出してくれるメーカーの悪評価など書くことはできない。
更に、弊社のオイルは一般的なオイルとは特性が異なり、交換直後よりも2〜3000km走行したほうが、X1のメタルリペア作用が進行するため滑らかさが増してきたりレスポンスが更に向上したりする。従って、この解説を書くためには最低でも1000km以上を走行、出来るならば3000kmは走行してから結果を書こうと、テストを重ねていたためにHP更新が遅れたことをご了承頂きたい。本来であれば1銘柄を1年間掛けて検証すべきであり、3種類をまともに検証するためには3年間を必要とする。従って完璧な評価ではないことを最初にお断りしたい。

例のリコールと合わせて6ケ月点検を依頼したので、ついでにエンジンオイルの交換をディラーに依頼した。当初は目次にあるように5W-30を予定していたのだが「10W-30も在庫があります」という一声を聞かされて「10W-30でお願いします」と即答してしまった。「冬場や気温が低い時は5Wの方が柔らかいので燃費に優れる」と多くの方が思い込んでしまうが「藤沢の部屋」でも解説したように「柔らかい粘度が燃費に優れていて良い」とは私にはどうしても納得できないことはテスト走行を実施している中で、幾つかの問題点が見えてしまうからである。私が車やオイルを長年観察してきて構築された一つの結論がある。「メリットとデメリットは背中合わせになっていて、どちら側から見るかで物事は全然違う結論が待っている」ということだ。
特にハイブリッド車は頻繁にエンジンの始動停止が行なわれるのでエンジンにとって厳しいという見方も一部で見受ける。それがどこまで正しいのか?そのことよりも始動停止を繰り返しているエンジンはどのような状況下に置かれているのかをもう一度推理しながら観察してみよう。ピストンクリアランスは水温&油温が上限まで上昇した際に最適になるよう設計で盛り込んでおかないと過酷な状況下では大きく膨張した際にシリンダー壁と接触してしまい傷を付けてしまったり、最悪は焼きついてしまう。そこで一番厳しい状況下を見越した安全マージンを取っておかなければいけない。プリウスというクルマの性格上、アクセルをあまり踏み込まないで燃費重視でエコモードばかりを多用していればエンジンは低温状況下で長時間使われ続けることになる。更に燃費を重視する方ほど「柔らかいオイルは抵抗が少なく燃費が良くなる」という単純な発想で低粘度オイル「0W-20」を長期間使い続ける悪循環に陥る。この「柔らかい粘度は抵抗が少なくなるため燃費アップに貢献する」という理論は誰もが何の疑いも抱かずに納得できる説得力を持っている。この低粘度オイルは、交換直後の新油状態では潤滑性能は高く保たれているが、実際にはオイルは長期間使い続けられるし、柔らかい粘度のオイルほど性能劣化が早まってしまうデメリットを忘れてはなるまい。目先の僅かばかりのメリットを追い求めたために長期間にわたる耐久性や良好な性能維持を損なってしまえば、僅かなメリットが得られたとしても、大きなダメージで一瞬で逆転してしまうことに繋がる。そんな怖さは何も知らない無知な方ほど柔らかいオイルが魔法の万能オイルに思えてしまうことだろう。低粘度オイル=エコオイルと言われがちだが、そのこと自体に私は疑問を感じてしまう。

4-5 純正オイル(10W-30)にX1FS添加
話は戻るが、購入したディラーにて、純正指定粘度(10W-30)のエンジンオイルに交換、エレメント交換(走行距離4791km)して頂き弊社工場に帰ってきた。ほんの数分の走行であったが予想していた通り、エンジン回転が2000rpm以下では非常に静かになった。
納車時の0W-20にもX1FSを添加したので今回も即座にX1FS-300ccを添加した。X1愛用者であれば、この気持は理解してくれることでしょう。
X1FS-300ccを添加してテストに出掛ける。走行してすぐに感じたことは「エンジン音が普通の車に近づいた」または「安物エンジンのような音から高級感のある落ち着いた音に」変化した。感覚的には、やっと気持よさが出てきた。一芸に秀でた職人は少しの音の変化や手の感触を大事にする。エンジンのメカニカルノイズも同様で音質により潤滑レベルや燃焼レベルが伝わってくる。これでやっと私の望んでいた本来の走りの基本がやっと手に入れられたことになる。本音を言えば一刻も早くエストレモオイルに交換したい気持は強いがこれから5000kmは、この純正10W-30+X1FS仕様でテストを続けて燃費や走りを見極めてゆく。本来のテストとは時間をじっくり掛けて行わなければ本当のことは解らないものである。だから、このオイルのコラムもなかなかアップ出来なかったわけである。雑誌のグッズテストは締め切りや発売時期が決まっているので即効で評価を書かなければならない背景を持つ。だから制約上、長期テストは苦手となる。弊社のオイルのライフサイクルは長く、エンジンオイルを交換して走行距離が増えるほど良さを認識しやすいが数日の評価では真の評価とはほど遠い。特に新型プリウスの燃費比較テストは非常に難しい。バッテリーの蓄電レベルでエンジン稼働状況やモーターの力強さも大きく変化するし、他にも変化する要因がたくさんある。また、リコールのソフトはバージョンアップされている可能性も含まれている。
さて、他の項目で少々述べたが世間の注目を集めたブレーキ抜け対策ソフトの結果を報告しよう。一言で表現すれば従来のクルマのブレーキフィーリングに近づき、違和感がほとんど無くなった感じだ。納車直後からしばらく過ぎてもブレーキの違和感をずっと感じていたが普通の車に近くなったことで違和感はかなり薄らいだ。スロットルもブレーキも人間がコントロールする時代は終焉を迎え、ECUの制御が絶えず割り込むように変化した。自動車がデジカメやパソコンに近くなったと思えばよい。今回のリコールソフトもデジカメのアップデートと同じパターンだ。新型プリウスのブレーキは実は4種類をモードや制御で使い分けている。そこが今回のリコールにも大きく関係している。
1:従来と同じフットブレーキ(メカニカル)
2:電動ポンプで圧力をコントロールしアキュームレータに蓄圧しておき、制御によりバルブを開閉して油圧をブレーキ側に送る。
3:回生ブレーキ
4:特にエンジンブレーキとして働かせるときにBモードにするとエンジンを回してエンジンブレーキとして利用する。この時に燃料噴射は行われていない。しかし、バッテリー蓄電量が満タンになると回生放棄するので燃料噴射が行われエンジンブレーキの効果を高める。
上記の4種類(厳密には燃料噴射のON,OFFも加えると5種類)のブレーキをコンピューターが制御してブレーキをコントロールしている。
リコール対策後は1:のメカニカルブレーキの出番が増えたような印象が強い。また、3:の回生ブレーキの効きも少し高められたような感触も少し感じる。従って、書き換えによる燃費低下は無いに等しいか場合によっては高められているかもしれない。自動車は決められた発売時期に何とか間に合わす為に、発売直後には次の改良に向けて努力が続けられている。そんな背景があるので細部に渡って細かな改良が加えられていても何等不思議ではない。制御ソフト関係もECU制御で行われるため、今後もバージョンアップソフトに書き換えることで、更なるパフォーマンスアップが期待できることが予想される。そんなソフトを有償で購入できるようになる検討もされ始めたようである。

4-6 エストレモ AZX1-極(10W-40)オイル交換
表題ではGPX1-轟をテストする予定でテストを開始したが、低粘度オイルの呪縛から抜け出せない方が多いように見受けられるため、私が何かにつけて「粘度はある程度あった方が良い」「粘度に変わる要素は粘度しかない」「低粘度オイルはデメリットも多い」「プリウスにおいては粘度が高くても燃費は大きくは変わらない」という私の考えを検証するため当初のエンジンオイル予定のGPX1-轟(5W-30)を取りやめ、AZX1-極(10W-40)を試してみることにした。恐らく20万台以上走行している前期20型も含めて10W-40粘度を使用している車は数台あるかないかではなかろうか。私が実験台となって実際に体験することに大きな意味があると考える。実際に実験しないで頭だけで練り上げた理論など技術屋にとっては何の意味も持たない。

さてAZX1-極に交換し、早速いつもの23.6kmの一般周回道路の走行を開始した。一般道路の流れに合わせた運転で55〜60km/hまで加速するとエンジン回転数は2500〜3500rpmほど回る。納車時の0W-20から純正の10W-30に交換した際にも感じたことだが2000rpmまでの回転域では「静か」の一言で、10W-40に交換したら2500rpmまでは本当に静かだ。弊害としては静か過ぎて速度感覚が麻痺してしまう。特にロードノイズが静かな綺麗な路面舗装においては、60km/hくらいかなと思ってスピードを確認すると「エッ!!80km/h?」とビックリして慌ててアクセルを緩める。この感覚は、麻痺と表現するよりも「スピード感が無い」と表現した方が適切であろう。弊社の「極」や「轟」グレードを使用して同じような体験をされている方であればこの表現や感覚はダイレクトに伝わると思われる。弊社のオイルを体験されていない方は「???」となってしまっても不思議ではない。つまり、潤滑が良好に行われた結果、メカニカルノイズが減少するため静かでスムーズでレスポンス良いエンジンとなってしまう。残念なことはモーター主体でエンジンがアシストするプリウスの制御の関係(エンジンの動力がダイレクトに反映されないため)で、従来の車のように、エンジンオイルの性能引き上げ効果が、そのままダイレクトに大幅な走りの向上となって体感することは難しい。グレードが一番下のAZX1でもAZX1-極でも大きな違いを体感することが極めて難しいことが確認できた。このことと同様に純正0W-20+X1FS300cc添加、純正10W-30+X1FS300cc添加、AZX1−極に交換してみて一番の違いはメカニカルノイズの静かさと言える。また、3000rpmを越えた高回転域の音質が大きく変化した。音質を言葉だけで表現して伝えることは至難の技と言えるが何とか書いてみよう。
○純正0W-20+X1FS300cc添加、
10万km以上走行したエンジンのようにガチャガチャと下品で壊れそうな音質。
○純正10W-30+X1FS300cc添加、
かなり正常な音質に近づいた。2500rpmを越えるとエンジンが回っているなという感じで従来車に近い少し心地良い音質に変わった。
○estremo AZX1−極
静かさがより高回転域まで広がりエンジンを回しても気持ちよい音質に変化した。静かな領域も3000〜4000rpm域まで拡大。エンジンブレーキのBモードでバッテリー満タン状態に達した時のエンジンが騒々しく唸り出す大音響も、かなり低音領域に変化した。
このような状況だから一般道ではエンジン停止時間が長いため、あまりオイル交換の違いは解りにくい。但し、赤信号で停車してからの発進加速で60km/h位まで加速する際に静かさが増し、高速道路では常時エンジンは回転しているために「静かさ」の恩恵を絶えず受けることになった。私の中ではプリウスと言えども、AZX1−極でも何の不都合も感じない。

納車以来、現在の走行距離は8192kmに達した。
○純正0W-20+X1FS300cc添加=走行距離:4790km
○純正10W-30+X1FS300cc添加=走行距離:2369km
○estremo AZX1−極=走行距離:1033km

皆様の中には「やっぱり燃費が気になる」という方も多数居ると思われる。色々なテスト走行を繰り返してきて把握できたことは・・・。
燃費に大きく響く要素として
1:外気温
2:水温(暖機運転)
3:加速(アクセルの踏み込み具合)
4:バッテリーの蓄電レベル
上記4要素が思っている以上に燃費に大きく影響を及ぼしている。
いつもの23.6km一般道路を何十回も重ねていると浮き彫りになってくた。車を車庫から出すと通常では暖機のためにエンジンが始動を開始する。この時の水温は外気温とほぼ同一であるから冬季の方がエンジンが停止するまでの暖機時間は長くなる。この暖機運転の1分間〜2分間の暖機で浪費した燃料が燃費に大きな影響を及ぼしてくる。
同じPWARモードで1周目(暖機あり)と2周目(暖機後)の燃費を比較してみると・・・。
テスト1回目
1周目(暖機あり)=燃費 23.2km/l 平均速度36km/h
2周目(暖機後)=燃費27.5km/l 平均速度37km/h
テスト2回目
1周目(暖機あり)=燃費 24.9km/l 平均速度38km/h
2周目(暖機後)=燃費28.4km/l 平均速度34km/h

暖機後の燃費は4.3km,3.5km/l暖機後が良い燃費をマークしている。23.6kmの走行でこれだけ大きく差が出てくるので、通勤距離が10kmとか5kmとか短くなればなるほど、この影響は大きくなってくる。プリウスに限らないので通勤距離が短い方が「自分の車は燃費が悪い」と言っているのは当たり前の話である。この事から解ってくるように、この暖機運転の燃費落ち込みはエンジンオイルの粘度変更では大きくは変わらないという結果も得られている。
但し、昨年の9月末の納車以来、6月初旬までの約8ヶ月間のテストであるので季節の違いによる温度変化の影響を少しばかりは受けている。また、今年に限っては気温の上下動が半端ではなく春のような暖かい陽気になったと思ったら翌日は冬に逆戻りしたみたいに気温の変動が大きかったことを付け加えておく。プリウスに限らず、燃費には実に様々な要因が影響を与える。数え上げたらキリがないほど多い。そんな色々な要素が積み重なっても、最後に数値として燃費は計算できる。そこでテスト走行路を複数回重ねた結果だけを使用油脂別でお伝えしよう。
○純正0W-20+X1FS300cc添加(1月17日〜1月24日:暖機2回、暖機後2回)
平均気温:10℃ 平均燃費:25.2km/l 平均速度:38.75km/h

○純正10W-30+X1FS300cc添加(2月4日〜4月10日:暖機2回、暖機後2回)
平均気温:16℃ 平均燃費:24.7km/l 平均速度:36.0km/h

○estremo AZX1−極(5月9日〜5月23日:暖機2回、暖機後2回)
平均気温:20℃ 平均燃費:26.5km/l 平均速度:36.25km/h

色々な事情(スロットルコントローラーのトラブル発生)から走行モードは全て同一ではない。また平均気温で解るように気温が大きく変化している。一般道路なので、遅い車に追いついて長い間、追尾したり、反対に後ろから早い車が煽ってきて少し強めにアクセルを踏んだりと、少しは状況変化がある。それらの条件の違いを極力平均化させるために複数回(4回)の平均値で算出した。AZX1-極の燃費は一番良くなっているのは平均気温20℃で解るように1月から2月の寒い時期のテストと、5月に入り気温上昇が燃費向上に大きく影響を及ぼしていることは明白であろう。それを差し引いたとしても燃費の落ち込み幅は予想通り、それほど大きな数値になるとは思えない。但し、これが冬季に向かって気温が低くなる状況であれば結果も異なってくる。また、たった1km/hの燃費の違いに一喜一憂する「燃費一番」の考え方であれば私の結果を最善とは思えないことでしょう。物事には色々な考え方が存在することが健全であり、自分の考え方に近い納得できる物を試すことにより、納得できる結果に近づける。
「ハイブルッド車はエンジンが頻繁に停止するためにエンジンオイルにとって過酷な条件である」という話を目にしたり聞いたことがあるかと思いますが私の実験結果では必ずしも正しい情報とは言えないことが掴めました。プリウスは外気温により左右されますが気温15℃を超えていれば60秒少しで水温が40℃に達すると暖気が終了します。水温40℃で発進したとしても、平坦路であればエンジン稼働は少ないわけですが、少しでも登坂を続けると数分間で水温は80〜85℃に上昇します。気温が20℃以上あれば簡単に90℃に達する。油温と水温との関係は諸条件の違いにより大きく変わりますが、一般的には、走行直後は水温が上昇して水温85℃の時に、油温は10〜20℃低めであると推測され、走行が長引くに従って水温と同等に達する。更に高負荷が掛かるような条件(登坂、急加速、高回転域使用)になればなるほど、摩擦熱の冷却と燃焼温度の影響を受けて油温は上昇してゆく。このようなエンジン制御の関係で運転方法、使用環境、気温などの諸条件の違いが一般ガソリン車よりも、幅広く分散すると考えられる。従って、どれが正解と断定するのは危険極まりなく、結果を検証しながら、その人の使用環境、運転方法に一番適した粘度選択が重要となってくる。

物事には「得る物の見えない反対側に必ず失う物」があるということを理解できるか出来ないかで意見は大きく分かれてしまうことだろう。このことから私の場合、少しくらい燃費が悪くても(この数値をどのように捉えるかは個々の考え方で大きく左右される)、静かで気持良く運転が楽しめてエンジンの好調子が長期間維持できるのであれば硬い粘度も悪くはないと言うのが私の結論だ。23.6kmの一般周回道路のテストでは弊社工場から発進すると数百メートル先に信号があり、そのすぐ先にも信号がある。実は発進して、この二つの信号を青信号で通過するか、最初の信号に赤信号で停車するか、二つ目の信号を赤信号で停止するかにより、5.8kmで左折するまでの燃費に大きな差が出てしまう。つまり、暖機運転しながら車が走行しているか、赤信号で停車したまま暖機運転で無駄に燃料を使用するかどうかが、エンジンオイルの粘度よりも大きく燃費数値に影響を与えるという事実。その他に、気温の変化、エアコン使用の有無、運転方法の違い、タイヤ銘柄、タイヤ空気圧、快晴か雨天か、一般道主体か高速道路主体か、自分の家から発進して坂道を下るのか登るのか、暖機運転をしてから発進るのかしないのか、これらの違いが燃費に大きく関わってくる。
このテストは今回で終了ではなく、まだまだ長期間に渡り継続テストを続けてゆく。次のオイルは車のキャラクターに妥当な選択と言えるGPX1又はエコノミア+GPX1混合仕様でテストする予定だ。

色々なオイル粘度のエンジンオイルをラインナップする大きな理由は、エンジン仕様、走行条件、指定粘度、ドライブフィールなど、要求される条件が千差万別であるため、最適な粘度が要求されるからである。どうしても、粘度ばかりがクローズアップされてしまうが、粘度は油温の影響を受けて大きく変化することを忘れてはなるまい。油温上昇は燃焼温度とフリクションの影響を強く受ける。ベースオイルと各種添加剤のコラボレーションによって潤滑レベルが決定される。同じ粘度でも性能が異なってくるのは、目に見えない「潤滑性能」に違いがあるからである。また、フリクションが少ないほど完全燃焼に貢献するためカーボン発生量は低下する。オイルの希釈と汚れは、この燃焼状態と密閉度の良否で大きく変化する。密閉度が向上することで「良い圧縮」が保たれガソリン希釈は低減され、「良い燃焼」が行われた結果、カーボン発生は減少し、排気ガスを押し出す際に「良い密閉度」でより多くの排気ガスが押し出されるため結果としてオイルの汚れは低下する。この一連の工程に於いても、単純に油膜だけでなく、「ベースオイル+各種添加剤」の総合性能によって結果は異なってくる。潤滑性能が優秀であればあるほど「良い潤滑サイクル」の領域にエンジンを昇華させることが可能となってくる。その意味では、新型プリウスは、まだテストが始まったばかりの状態であり、これから5万km,10万kmと走行距離が伸びていった時にこそ、estremo製品の真の良さをより強く感じることになる。