4-3 ドア・デッドニング実施
ハイブリッドや電気自動車は従来の車より静かであるがゆえに、気になり始める些細な音でも気になってしまう傾向がある。当社のエンジンオイルの使用でもエンジンが静かになると同様なことが起きてきた。
○マフラーの排気音が大きく聞こえる
○風切り音がうるさく感じる
○ロードノイズがうるさく感じる
○ちょっとした音が気になる
という話はエストレモ・エンジンオイル発売直後より沢山寄せられている。それと同じようなことがハイブリッドや電気自動車で起きている。そこはメーカーも充分に承知していて防音材や防振材を重要な部分に施してあるが、コストとの兼ね合いで一番安いL仕様には防音材や防振材が省かれている。セルシオクラスになれば豊富に施され、それが価格に反映されてくる。高燃費が使命の燃費スペシャルの位置付けなので車両重量も軽くしたい。様々な制約の中でコストとの折り合いを付けて発売されてきた。それでもロードノイズが耳に付くので、オーディオの音質向上やドアー開閉音の改善などが期待できるドアデッドニングを施すことに決めた。専門ショップに依頼すると工賃と材料で高額になるが自分で施工したので材料代だけで済んだ。少しメカニズムに興味を持つ方であればドア内張りの外し方さえマスターすれば何とか出来てしまう作業がデッドニングである。他人任せにするよりは少し苦労しても良い結果が得られれば喜びとなって自分に返ってくるので是非、チャレンジして欲しい。新型プリウスは見栄えを考慮してドアー内張りの見える場所には1本も取り付けネジが見えないように隠された設計を採用している。ここが曲者で隠れた取り付けビスが2箇所にある。1本は肘掛けの凹みの底に敷かれているプレートを小さなマイナスドライバーなどで持ち上げると底に隠されているビスが顔を見せる。もう1本ドアを開くレバーを隠しているプレートを割らないようにマイナスドライバーなどでこじると「パコン」とカバーが外れる。この場合、どの場所をどのくらいの力加減でこじるかは経験を積む他はない。すると取り付けビスが顔を出す。この2本のビスを緩め、後はマイナスドライバーや内張り剥がし(エーモンなどのデッドニングセットを購入すると付属で付いてくる)で内張りをこじって剥がしてゆく。一度でも内張りを剥がした経験があれば解ることだが、窓ガラスの隙間から侵入した雨水や洗車時の水が内張りに掛からないようにビニールシートがボンドで接着されている。このビニールシートを破って剥がしてしまう。ボンドを綺麗に取り除くには少しコツを必要とする。剥がした際にビニール側に付いてきたボンドを利用して残っているボンドに押し付けては剥がすことを繰り返しながらビニール側に付着させてゆく。シンナーなどの溶剤でも溶かせるが少量の除去には向いているが厚みのあるボンドを溶かすのは大変な作業となる。
デッドニングに使用する材料は大きく分けて4種類を使い分ける。
防振材:振動を抑制するための板で裏紙を剥がして貼りつける。
防音材:発生する音を防いだり低めたりする。綿のような柔らかい繊維で通常は厚みがある。
拡散材:主にスピーカーの裏側部分に貼り付ける。凸凹した形状。
鉛板:ドアに開けられている穴(サービスホール)を塞いでスピーカーの裏側からの音が漏れ出すのを抑制する。この鉛板は音質のチューニングとして使われる。

内張りを剥がしビニールシートとボンドを除去したら、サービスホールから防振材の裏紙を剥がしながらボディ外側となる鉄板の内側に適当に貼り付けてゆく。その後にサービスホールの大きな穴に鉛板を貼った。最後に大きな防振材を上中下と3枚使用して全面に貼り付けた。内張りのドア側になる部分に綿のような素材で出来た厚み7mmほどの防音材をあてがって養生テープを流用して所々を落ちないように留めた。これで内張りを付けてしまえば防音材はドアとサンドイッチ状態となるので落ちてこない。施工のために一度純正スピーカーを取り外した。ネジではなくリベットで固定されているため電気ドリルでリベットの頭を削りニッパなどを使って取り外した。取り付け用鉄板ビスは太さ4mm,5mm,6mm長さ16mmの3種類をホームセンターで購入してきたが適合したネジは6mm×16mmサイズで取り付けが出来た。本当はバッフルボード(スピーカーの補強枠)も事前に購入し使用する予定でいたが純正スピーカーと干渉してしまい加工が必要なことが解ったので今回は使用をあきらめた。最上級のGTL仕様ということもあり、純正のままでも発砲スチロール製の防振材が一部に使用されていたことを報告しておこう。推測であるが一番安いL仕様では使われていないと思われる。オーディオの音質向上目的でなければ防振材と防音材だけでも静音化の目的は達する。沢山貼り付けるほど効果は高まるが材料が高いので出費が増えるのと同時に重量増加となってゆくので、適当なサイズに切り取り、効果的な場所を狙って施工してゆくことがポイントとなってくる。「臭い匂いは元からたつ」はどんな部分でも基本であり、ロードノイズ低減に一番効果的な方法は静粛性に優れるタイヤ銘柄に交換することになる。他の項目で解説したように私がチョイスしたタイヤはミシュラン・プレマシーLC+とTOM'S軽量ホイールの組み合わせ。エンジンは純正0W-20+X1FS300cc添加。排気音はハイブリッドなので音が気になるほどの高回転まで回らない。とりあえず、このままの仕様でデッドニングを進めてゆく。デッドニングの効果を確認するために、最初は左右フロントドアだけ試してみるという方法もあるがボディ補強とは異なり、一気に施工した方が施工前との違いを確認しやすい。そこでドア4枚に施工してみた。さて気になるデッドニングの効果はいかに?
効果1:ドア閉まり音は純正でも前ドアと後ドアでは音質が大きく異なる。音質を言葉で表現するのが難しいことだが、前ドアは「バタン」から「ズシッ」、後ドアは「ペタン」から「ドスン」と高級感が増した。
効果2:オーディオの音質は評価が難しい。耳を澄まして聞くと、確かにクリアな音質になっている。スピーカー後部にエーモン防振材(エーモンドア4枚用キットNo,2196)を貼り、その上にセキスイの拡散材を貼った。サービスホールの大きな穴は鉛板で塞ぎ、更にその上からエーモン防振材を全面貼りした。スピーカーも交換したかったがGTLのオーディオはスーパーライブサウンドシステムの8スピーカーでインピーダンスが特殊で適合品が発売されていないので純正のままで試してみた。施工前より低音の広がりが少ないように感じたので知り合いのオーディオ専門店の方に聞いてみたところ、デッドニングをやり過ぎると低音が物足りなくなってしまうという回答が返ってきた。いずれはスピーカーを替えたいと思うのだが、しばらくは純正のままで私の場合はOKだ。結論としてはオーディオの音質向上の評価は低い。やっぱりスピーカー交換(場合によってはアンプも交換も必要になるかもしれない)+バッフルボード取り付けなど根本的にやらないとだめなのだろう。
効果3:今回の主目的の静音化には効果が感じられた。タイヤ+ホイールと合わせ、ほぼ満足のゆく静かさが得られた。ただし、どこまでが最高なのか?は静かさに限っては限りがないように思う。
フロアーマットを二重に敷くことも効果的であるが運転席だけは大問題となっているアクセルペダルがフロアマットに引っ掛かる恐れも出てくるため、安全を考慮した場合は避けたいところだ。新型プリウスのバックドアはアルミ製ということと、後部からも侵入してくる音も多いので、バックドアにもデッドニングを施工。ついでにスペアータイヤハウス内にも少しだけ貼って確認テストを実施してみた。予想通り、バックドアと荷室内(スペアータイヤハウスも含む)の施工は大成功で更に静かさが増した感じがする。そこで更にエーモンから発売され売れ切りとなるほど一部で話題になっている「No2649 風切り防止テープ・リアハッチ用」(近くの量販店で1680円)と「No:2652ドア用」(980円)更にホームセンターでニトムズの「防水、強力、物置・シャッターのすきまを防ぐ」屋外用防水すきまテープ×12(ハードタイプ)のサイズ厚み7mm×幅12mm×長さ2mを2本とサイズ厚み9mm×幅15mm×長さ2m 黒色を2本購入してきた。「No:2652ドア用」は前ドアと後ドアの隙間を塞ぎ風切り音を防止する。施工は簡単で、後ドアの前側に突き出ている部分に嵌め込めるようになっている。ドアを閉めると前ドア後端が接触して隙間が無くなる。このようにデッドニングは中途半端に実施するのではなく自分が満足と思えるまで徹底的に行うことが最大のポイントであろう。但し、エーモンのドア2枚用も店に置かれていたが片側2枚セットで3000円近いので4枚分だと6000円掛かる。また、密閉度が高まれば高まるほど力を最後まで入れて「ドン」と強く閉めないと半ドアになってしまう恐れも出てくる。更に、中に人が居る時にドアを開閉すると中に居る人が不快に感じるようになってくるなどメリットばかりとは限らないので購入しなかった。自分で行える作業なので貼ったり剥がしたりしながらベストを探す楽しみも待っている。
セルシオやSAIなどはドアのウエザーストリップが2重3重に取り付けられている。静音化の最大のデメリットは騒音による情報(エンジン音や風切り音、ロードノイズ他)がどんどん五感に届かなくなるため、スピードが出ている感覚がどんどん低下してゆくので絶えずスピードメーターで速度を確認し出ている速度をしっかりと認識することが重要となってくる。これはエストレモオイルの「極」「轟」グレードで得られる現象と同様なので一度でも体験していれば大きな問題とはならない。どのくらい静かになったかは言葉の表現では伝えることが難しいので「騒音測定」の項目で測定値などを公表する予定で測定を進めているので楽しみにお待ち下さい。