3-2-4騒音測定

プリウスは静かな車である。だからこそ、些細な音でも気になってくればくるほど無視できなくなり「何とか対策はできないだろうか?」という気持が高まってくる。私の場合も、標準で装着されてきたタイヤ&ホイールの組み合わせて発生するロードノイズ及び凸凹路面通過時のドタバタ音と突き上げ感が気にいらなかった。エストレモ愛用者の皆様であれば何も新型プリウスのような静かな車ではなくても、弊社エンジンオイル(特に極や轟バージョン選択)使用によりメカニカルノイズが低減した静かな車は経験済みであるに違いない。エンジンだけでなく高度な潤滑性向上に伴い各部のフリクションロス低減によって、それまで隠されていて気が付かなかった騒音が全面にクローズアップされてくる。すると・・・
○ロードノイズが大きく感じる。
○マフラー排気音が大きく感じる。
○風きり音が大きく感じる。
○変速機等、駆動系の音が気になる。
○各種作動音、エアコン噴出し音が気になる。
同時に弊害として
○歩行者が車に気が付きにくい。
○スピード感が曖昧になる。
等が挙げられる。
これから多くなってくるハイブリッド、電気自動車に於いても、上記に並べた項目は、より重要な要因となってくることは間違いあるまい。
そこで騒音測定を色々と実施してみた。
騒音測定を重ねるほど、測定の難しさが浮かび上がってきた。現代はデジタル時代全盛であり、ともすれば体感(人間の五感)をアナログだ、プラシーボと軽視する風潮が垣間見えるくる。騒音測定でも比較で考えれば完全な防音室内に車を持ち込んで測定しないと違いは解りにくくデーターの正確性も薄れると思いがちとなる。しかしながら、自動車は道路を走行するものだから様々な自然現象や路面状況の変化、前後左右や対向車からの騒音、ガードレールやトンネル、建物なので大きく変化する騒音などに見舞われる。無音室で停車したままの測定での違いが測定できたとしても、ほとんど役に立たないデーターとなる。実際に測定を経験されていない方ほど、この点が理解できないのでデジタル(計測値)を頼りにする。更に、人が騒音と感じるか音楽と同じで快感と感じるか、それは音質が大きく影響するし、リズムだったり、個人的な好き嫌いもあるだろう。特に高速道路である一定の速度(時速約80〜100キロ)を越えるほど騒音は高まるが、一番大きな要因は「舗装道路の路面状態」である。私は中央高速道路を走る機会が多いが、東名高速道路に較べて、路面状況の変化が多岐に渡る。最近は荒れた路面の舗装工事が進んできているが、路面舗装の違いでロードノイズが大きく変化する。また、右側の追い越し車線を走行するのか、左側の走行車線を走行するのかでも音は変化する。一般道路に於いても、ガードレールから跳ね返ってくる音は時により大きく感じて気になったりもする。
車室内で感じる騒音をまとめてみると次の様になる。
○エアコン(冷暖房)の吹き出し音
○エンジン音
○CVT、デフなど駆動系の音
○ロードノイズ
○排気音
○その他の作動音や制御音(特にハイブリッド車では回生ブレーキなど)
これらの要素を頭に入れて騒音測定の結果を読み取って欲しい。
更には自分の車1台だけで走行しているケースは稀であり、前後の車や擦れ違う車からの騒音も大きく影響してくる。

測定器具はSTRAIGHT 型式Art.15-145 という測定器具を使用した。

Lo=30〜100dB Hi=60〜130dBの範囲が測定できる。
会社の駐車場に停めエンジン停止中の室内で測定した値は 32〜45dB
停車させる場所によっては 40〜45dB
風や周囲からの音、前の道路を通過する車の音で10〜20dBは常時変化する。騒音測定では10dB違うと、実際に耳に聞こえてくる音も差が大きく感じ取れる。だから測定場所をひとつ取っても、エンジンに近い室内で測定するのか、室内の中央で測定するのか、実際の人が聞き取る頭付近(耳付近)で測定するのかで微妙に違ってくる。本当は耳付近で測定するのが理想的であるが、走行している車では何かと難しいので、コンソールボックス上部付近で測定した。
メインスイッチONでエンジンは3〜5分間始動する。
純正10W-30にX1FS300cc添加=49.0〜49.3dB
AZX1極=47.7〜49.0dB
但し、エンジンは新製品開発のMVS装着によって元気が出ているので、それなりにエンジン音も力強い様子が窺える。オイルを換えても、それほど差が出ない原因はそこにあると思われる。また、新型プリウスはエンジン始動直後にエンジン音は高まり低下してから停止5秒前ほどから急に大きくなって停止する。

さて高速道路での走行中の騒音測定は、新型プリウスについては非常に難しい。それは100km/Hで巡行中に測定しようとしても、路面の微妙な勾配で、常にエンジン回転数が変化してしまうことだ。ご存知のように、高速道路走行中の騒音は@ロードノイズAエンジン回転数B風切り音C排気音D周囲の影響(ガードレール、前後の車、トンネル)など多数あるが、エンジン回転数の変動も測定数値に大きく影響してくる。
純正仕様と違っている箇所は、エンジンオイルがエストレモ、タイヤ&ホイール、ドア4枚とバックドアは自作デッドニング済み。
東名高速道路、大井松田IC〜御殿場IC下り線左ルート。
時速80km/H =64dB
  90km/H(1500rpm)=65dB
100km/H=66.6dB
 1○5km/H=65.9dB
 1○5km/H=68dB

上記データーも絶えず変化していることを付け加えておく。色々な測定をすればするほど、数値は絶えず変化するので、どこで読み取るのか悩むところだ。測定数値はトラックやバイクなど外部からの音が襲ってきた時にも変動してしまう。このように走行中は、雷や雷雨、強風など、あらゆる騒音が襲ってくることを理解して頂きたい。それらの雑音をフィルターを掛けて見分けることにより初めて自分の車の騒音が読み取れてくる。ポイントは数多く測定を重ねることに尽きる。一般的な流れに乗った速度域でも静かであるが、その速度から少しペースアップした速度域でも、静かさは保たれる。この点は同乗車にとって快適性向上の大きな要因として評価ができる。
うるさく耳障りと感じ取るのか、静かな車と感じとる分岐点を、測定数値で示すと、70dBを越えてくるとうるさいなと感じてくる。CDやFMのスイッチをONにすれば簡単に70dBは越えてしまう。エアコンONで風量が増えても70dBは簡単に越えてしまいます。70dBを越えたとしても、それが自分にとって心地よい音だと感じた場合は、うるさいなと思わなくなるだけです。このように騒音の問題は、音量だけでなく音質がその人の好みの音質なのかどうかで実際の評価は大きく分かれてくると思われます。だから計器で測定する数値だけで行う評価だけで判断することは難しい。

AZX1極+MVS装着によって、エンジン音が気持ちよく聞こえるようになってからは、時にはハイブリッドを忘れてスポーツ走行を楽しむ車に仕上がってきた。新型プリウスが納車された直後の感覚としては、ここまでスポーツを楽しめる車に純正仕様のままでポテンシャルアップできるとは想像していませんでした。ソレックスツインキャブレター吸気音やハイカムシャフト作動音を楽しんだ古典的な(?)感触に郷愁を覚えながらも、静かで力強い先進的な走行感覚を楽しめる新型プリウスも、車好きの私にとって至福の時間に変わりはありません。やっぱり楽しめる車は操縦性が重要だと改めて感じました。MVS装着によって走っていて本当に楽しい車に変貌を遂げました。操縦性だけでなく乗り心地も大きな突き上げ感がマイルドになったお陰です。いずれその全貌を詳しくお伝えできることでしょう。