3-1-3 estremo D2添加
プリウスのブレーキはある意味でとても特殊な制御が盛り込まれている。この原稿を書いている時点の走行距離は4100kmであるが、新型プリウスに慣れてきている中でも今だに違和感を感じてしまうのがブレーキフィーリングである。その違和感がどこから来ているかと考えると最大限に燃費を稼ぐためにアクセルを少し離すだけで発電を開始するために回生ブレーキが掛かり「グッグッ」と減速を開始する。エンジンが停止していてはブレーキ倍力装置(ブレーキブースター)が作動しないため(エンジンの吸入負圧を利用している関係で)普通の車のようなブレーキ倍力装置が用いられていない。ブレーキ倍力装置の役割を担う装置として、電動モーター駆動で絶えず油圧を高めて待機する油圧ブースターを採用している。この油圧(通常のブレーキ)と回生ブレーキ(発電時に発生する抵抗を利用)をECUがセンサーからの情報を元にプログラムされた制御で作動させている。従って従来車のように、ブレーキを踏みこんだ強さに対してリニアに制動するのではなく、感覚的には踏み込みに対して予想より強く制動したり、思ったよりも弱い制動だったりと状況により変化してしまう。この感覚のズレが違和感として残ってしまう。新型プリウスの標準ブレーキは時速10km以下の極低速走行時では予想より強く作動する。うっかり意識しないで従来通りのブレーキを掛けると同乗者がビックリして声を上げるほどの急制動をしてしまうことが起きる。また、少し傾斜のある駐車場に前進で駐車して、さあバックしようとして坂道バックした際に、軽く踏んだのに凄い急制動になってしまい同乗者から強く非難された(驚きの声を上げた)。自分では軽く踏んでいるのだが強弱の調整が効かないカックンブレーキが突如として現れた。赤信号などで普通の速度で普通に停車する場合にも最後まで踏んでいると、坂道バック時ほどではないがカックンブレーキ的止まり方をする。対策は、微妙に足の力を緩め圧力を弱めてあげれば気持ちよく「スーッ」と停止できるが慣れるまでは急制動となり運転の上手い方でも「下手だ」と思われてしまう。一言で言えば「クセのあるブレーキ」と言える。最初にD1を塗布したためにブレーキローターは前後共にピカピカに輝いてきた。さて、このようなクセのあるブレーキにD2を添加しても大丈夫なのか?と少し心配になったが、テスト目的で新型プリウスを購入したのも顧客の素朴な疑問に答えるために私が確認する必要性を感じている。市場に出てくる全ての新型車をテスト対象とすることはとても無理であるがハイブリッド車の代表である新型プリウスでテストすることに意味があると考える。さて、皆様が興味のある結果を先に報告しよう。「D2を添加した変化は現時点では何も感じられない」その理由として推測できるのは、最初に解説したようにECUの複雑な制御が行われるために変化を感じ取ることが難しいと推定できる。3年後の車検でブレーキフルード交換が行われれば、D2が排出され純正初期状態に戻る。多くの方が、車検でフルードを交換すると、「フワフワになってしまった」「何だか怖い」と必ずといっていいほど不満を感じて、D2添加に来社される。今までの経験から言って「必ず効果はある」と個人的には思っているが一般の新型プリウスユーザーにはあまり勧めない。その理由は、D1塗布だけで充分なメリットが得られるからである。但し、飛ばす人なら欲しがるかもしれない。その理由はスピードが高まるほどアクセルを離した際に、スピード低下が少なく感じるからである。中速、低速域からアクセルを離すと回生ブレーキが強力に効くため、一般的な車より減速感は強いが、ある領域を超えたスピードになると反対にエンジンブレーキの効きは弱いように感じた。私の購入したGTSの車両重量が1400kgと重いために、余計にそう感じるのかもしれない。また新型プリウスの特性なのかもしれないが他の車で試していないので現時点では解らない。
3-1-4 燃料にG9FS添加
マフラーカッターを装着したので、排気菅出口のカーボン付着状況を観察しやすくなった。新型プリウスは驚くほど燃費が良いので、さぞやカーボンは少ないと思っていたが、1000km走行後にも関わらず指に真っ黒なカーボンが付着した。さて、この原因はどこにあるのか?弊社の製品を使用されている方なら、すでにピンと閃いた方が多いと思われる。エンジンの燃費曲線を見たことがある方なら先刻ご承知のように、最大トルク付近(エンジンによって異なるが一般的に3000〜4000rpm付近)が良好な燃焼状態で良好な燃費を発揮する。ところが、新型プリウスは燃費スペシャル(高燃費を達成するための制御がてんこ盛りされている)を求めた制御設計のため、エンジンは始動・停止を繰り返す。また、モーターの力が不足した時に補助する役目を担っているので、燃費走行を心掛けるアクセル操作であれば、エンジンは3000rpm以下の低回転域で使用されることが多くなる。次のスロットルコントローラーの項目で詳しく述べるが、私は道路状況が許す範囲内で常にアクセルを強く踏み込んで走行しているので、4000〜5000rpmと高回転まで回すような走りもテストする機会も多く訪れる。このような高回転域まで回している状況にも係わらず、カーボン付着量が多いことが解った。レーシングカーの高回転多用とは正反対で、低回転域で始動・停止を頻繁に繰り返すために、エンジンが充分に暖機され良好な燃焼が可能となる理想的状況で使用されることがほとんど訪れないと推測できる。この冷えた状態に於いても理想的燃焼をさせる新しい技術が進化して盛り込まれてくるならば更なる燃費向上が期待できる。今までに幾度と無く解説してきたように、性能の良いエンジンオイルと、燃焼促進剤G9FS&V7FS等の活用で、程度の違いこそあれ燃焼を改善しカーボン発生を抑制が確認できた。そこで今回はG9FSをテストしてみることにした。結果を先に書くと「制御が複雑でモーターが介在する関係で、トルク感やパワー感は体感できにくい。また、燃費も他の要因が多過ぎて明らかに変化をしたということは現時点で断言できない。一番気になった排気管のカーボン付着に関しては効果が少しは感じられる」といった評価である。カーボン付着量は、走行距離や使用条件等にもよって変化してくるので、指で触った色具合(付着具合)で判断しなければならない。燃費のように数値で表せないので正確な比較が難しい。当社には精密な排気ガス測定器もあるので、いずれ測定を積み重ねてゆけばデータが蓄積できると考えている。
3-1-5 トムス・スロットルコントローラー(スロコン)取り付け
他でも触れたように、現代の自動車は環境配慮・高燃費化のために、スロットルの動きまでも、コンピューター(ECU)によって制御されるようになってきた。そのためにアクセル踏み込み量と加速感とのズレが走りの爽快感を大きくスポイルされてしまう。つまりアクセル踏み込み量に対してリニアにスロットルが開かないのである。急加速が一番燃費悪化を招くためエコモードになるとドライバーが意図して踏み込んでもスロットルはあまり開かないように制御され、わざと反応を鈍く設定し燃費悪化を防ぐ制御となっている。新型プリウスの場合は、EV,ECO,ノーマル、PWRと4種類の走行モードが選べるが(実際の状況ではEVモード使用は大きく限定される)私はPWRモード以外は反応が鈍過ぎ加速も悪く、とてもじゃないが使う気になれない。そこでスロットルコントローラー(以下スロコンと記載)の装着を真っ先に考えた。加速が良くなればピークパワーに変化は無いものの普段より高負荷運転が増すだろう。先ず、その影響をまともに受けるのが駆動系になる。本当は同時にハイブリッド用トランスミッション(以下ミッションと記載)にX1またはX1FSを10%(オイル総量3.4リットル)の300cc添加すべきであるが、同時に行っては正当な評価試験とはならないので、ミッションにX1添加を我慢した。ミッションはウオームギヤが随所に使用されているのでX1添加により、
○切粉の抑制=耐久性向上 ○フリクション低減=気持良い軽やかな加速
が予測できる。
スロコンは、BLITZやPIVOTより新型プリウス適合品が販売されている。私が選んだのはトムスから発売されている物だが、BLITZ製とまったく同じ品物なのでBLITZまたは他メーカーのOEM製品と推定できる。ホイールもトムス製なのでメーカー名を統一したいという単純な理由である。昔の話になるが鈴木亜久里選手のF3時代では、トムス(TOYOTA)はライバルであり、また、トムスの大岩社長とはサーキットで顔馴染みだったので(大岩社長が私のことを覚えているかは解らないが)なので、日産と関係が無くなった現在では逆にトムスに対して親近感が湧いてきている。金額的にはPIVOT製が安く3種類のアイテムがあるのと、純正より反応が良くなるSPORTSモードが7種類と、純正ECOモードより、よりECO仕様となるECOモードが5段階(私には不要だが)ときめ細かい設定ができるのでお勧めできる。(実際の使用では気に入ったモードを多用することになるが)。私の購入したトムス製はBLITZと同じく4種類のモードが選択できるが、モードの違いは体感上では少ないので私は最強のPWRモード×SP3(約半分のアクセル踏み込み量で全開に近い状態までコントロールされる)しか使用しない。この組み合わせで、やっと普通の車と同等な走りが得られると感じている。人によっては即座に「エコ指向の強いプリウスをせっかく購入したのに燃費に悪い走りをしては意味が無い」と勘違いされると思う。一般道路上で一番大切なことは前後の車両を含めた安全確保が第一であり、燃費はあくまで2番目の要素である。だから、燃費ばかり気にしてメーターばかり注意していれば周囲の車にとって邪魔物と思われるし、歩行者、自転車、対向車、障害物、飛び出しなど、咄嗟の状況変化に対応が遅れることに繋がりかねない。運転技術さえ持ち合わせていれば、敏感なアクセルの反応を示しても、それを自由自在にコントロールするのはドライバー本来の役目であり、反応の良さは危険回避も含めて安全運転に大きく貢献すると私は考えている。実際の燃費についても個人的には満足できる燃費をマークしている。無知なる人は10-15モードの意味も、新しいJC08モードの意味を理解していなくて、実用燃費であるかのような大きな勘違いをしてしまう。10-15モードと実用燃費との差が大きいとの苦情が多く寄せられた関係でモードを実用的により近づくモード設定にして、実用燃費との差を少なくしたのが新しいJC08モードである。二つのモードは、同じ走行条件で各種類の自動車の燃費を比べるためのモードであり、実際の使用で結果として出てくる実用燃費は渋滞あり山坂あり乗員や積載物の違いや風の影響、空気圧の低下、雨天の路面抵抗増大、エアコンや暖房使用、最高速度の大きな違いなど、あまりにも燃費に大きく影響を及ぼす条件が多様過ぎて比べることができないし、これらの条件は大きく変化する条件なので、10-15モードもJC08モードでも盛り込まれていない。この理屈が理解できていないので、カタログデーターより燃費が悪い、カタログの燃費数値はおかしいと間違った判断をしていることに気付いていない方が非常に多い。
さて話をスロコン装着に戻そう。装着はアクセルペダルに設置されているアクセルペダル踏み込み量を検知しているセンサーのコネクターを外し、スロコンの配線を割り込ませるだけの簡単配線で、特に電源など接続する手間は不要なので20〜30分で装着できた。装着後の結果を先に書くと「前にも述べたが各モードの変化は僅かであり、最強のSP3モードにすると明らかに加速が敏感になり、自動車を運転している気持ちよさが得られる。私は常時、PWERモード×SP3最強モードで使用しているがメーター表示燃費は概ね22.0km/リットル前後が多く、納車されて4000km走行時点の平均燃費はガソリン満タン法計測で19.0km/リットルと優れた燃費をマークしている。毎朝のエンジン稼動時間を計測したり、工場から外に出し入れしたり、テスト走行のため激しく走行したりと、燃費に対して厳しい使用環境を考慮すると優秀な燃費だと満足している。スロコンは、システムOFF時に使用していたモードを保持してくれるが、車両側はシステムON時は、ノーマルモードで立ち上がる。そのために走行を開始してから明らかに鈍い加速ですぐに気が付いて、慌ててPWRモードに切り替える。スロコンもシステム立ち上げ時はOFFとなるので、走行中でもスイッチONにすると、最後に使用していたモード(私の場合はSP3)で瞬時に走行できる。面倒なのは停車後にシステムONにする度に、PWRモードスイッチON,スロコンスイッチONを忘れずにしないといけないのだが、ついつい忘れてしまい慌ててスイッチを入れている。当社の「極」「轟」グレードではないけれど、一度でも快感の味を知ってしまったら再び元には戻れない。車が好き、走りが好きという方なら新型プリウスに限らず、スロコンはこれからの車の必需品と言える。たとえ、ハイブリッド車でもEV(電気自動車)でも、これからのチューニング定番アイテムと言える。
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