第七章 性能は液体の能力で大きく左右されている
 自動車に限らず、金属が回転する部分には磨耗防止を役割とする潤滑油が必要不可欠である。そして潤滑油の違いによる回転性能の違いを体験した時、自然とオイル性能に関心が生まれてくる。そうなると次のステップは「どのオイルが一番良いのか?」という疑問である。カタログ集めから始まり、友達に聞いてみたり、インターネットを活用したりと色々な手段で情報を入手する。だが情報の真偽は判らない。私の場合も最初から潤滑油に関心を持った訳ではなく、チューニングを通して材質、重量、クリアランス、締め付けトルクなどを追求し、次にコンピューターチューン、そして最後に潤滑油の重要性に到達した。潤滑油を入れ忘れてエンジンを回せば短時間で焼きついてしまう。安いオイルでも、入っていれば短時間で焼きつくことはない。そこには大きな開きがある。そして、オイルの潤滑性能を高めれば、回転性能は格段に向上する。そこにも大きな開きがあるのである。このことは友達といくら激論を交わしても真偽は見えてこない。
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7−1:潤滑性能は燃焼に深く関わっていることを忘れている

 市販されているエンジンチューニンググッズの大半は「完全燃焼に近づける目的のアイテム」である。フルトランジスター、CDI、ハイテンションコード、スパークプラグなどの点火関連用品から始まって、アースチュー二ング、コンデンサーチューン、トルマリンやSEVなどの電子関連グッズ、燃料改質剤、燃料添加剤といった燃料関連グッズと、ほとんどが燃焼改善用品なのである。チューニングアップ作業にしても、燃焼室容積合わせ、燃焼室形状変更、圧縮比向上などは燃焼に直接関わってくる改造である。目指す完全燃焼に近づくほど、無駄に捨てていたパワーを引き出すことが可能となるのである。だが、現在の技術でも完全燃焼にはまだ到達していない。例えば排気管内に黒いススが附着している間は完全燃焼とは程遠いと言える。いずれ排気管がまったく汚れないレシプロエンジンが世に出てきてもおかしくはない。そうなると「オイルは汚れて真っ黒になる」という常識は過去のものとなるだろう。常識とは時代と共に変化してゆくものであると認識して欲しい。


 例えばターボ車が厳しい燃費規制、排ガス規制をクリア出来ないため製造中止となっている。(2005年現在:ランサーエボリューション、インプレッサ、一部軽四輪のみがターボモデルをリリース)これはターボの機構上、排気ガス規制をクリアしにくいからである。ターボエンジンはアクセルの踏み込み量や荷重変化、水温変化など各種要素によって瞬時にブースト圧は上昇下降を繰り返している。燃料噴射量は各種センサーからの情報を元にCPUで演算され、インジェクターに電気信号を送り噴射される。確かに昔の自動車と比べれば比べ物にならないほど、あらゆる面で性能は向上してきているし、カーナビのような新技術も盛り沢山に装着されてきているので、ほとんどの人がいまだ発展途上と認識していないだけのことである。その理由は簡単でシリンダーヘッド燃焼室内で行われる燃焼は、簡単に目で見ることが出来ない部分なので見落としがちになってしまう。燃焼は各種試験機を用いた燃焼解析実験を行うことである程度解析できてくるが100%解明できる訳ではない。
燃焼に大きな影響を与える要因を考察してゆくと基本的には下記3要素から始まる。
1:良い混合気
2:良い圧縮
3:良い火花
これがエンジン燃焼の基本であり、チューニングアップも新型エンジンの開発も、この3要素を高次元でクリアするための研究開発が行われることになる。私も最初に自動車整備を学びだした頃から、何かにつけてこの基本3要素を頭に置いて取り組んできた。使い古されたこの3要素に重大な欠陥を発見したのは今から15年前のことになる。実は3要素ではなく4要素が基本であり、4番目の重要な要素が欠落していたことに気がついたのである。4番目の要素とは「良い潤滑」であり、良い燃焼に欠かせない大きな影響力を持っていることを突き止めた。この3要素が書かれた頃は潤滑に対しての認識も低く、きっと「オイルは入っていれば良い」程度の認識であったのだろう。また他の項目でも何度も書いているように、エンジンを開発する人たちは、あくまでエンジンの技術者でありオイルの専門家ではない。反対にオイル開発の技術者はエンジンを含む自動車開発技術者ではないのである。私は、製造、開発、整備、チューニング、販売、オイル開発と自動車関連の仕事を一通り経験しているので、オイルとメカニズムの相関関係を奥深く理解することができた。
ここからは私の提唱する完全燃焼に必要な「4要素」を更に詳しく解説していく。

1:良い混合気
燃焼とは、燃料と空気中に含まれる酸素とが結合することであり、燃料をいかに細かく均一に霧化させ、酸素と結合させるかが完全燃焼への鍵を握っている。実際にその仕事もしているのが、古くは機械式キャブレターであり、霧吹きの原理を応用し、燃料を霧化していた。車両コントロールをコンピューターが制御出来るようになると、燃料の噴霧も電子化が進み、各社EFI(エレクトロリック・フユェール・インジェクション)やEGI(エレクトロ二ック・ガソリン・インジェクション)という名称で電子制御燃料噴射装置が採用された。過渡期には、レースや一部車種において、機械式噴射装置(メカニカル・インジェクション)も存在した。
コーヒーブレイク:
メカニカル・インジェクションの歴史は古く、海外では盛んに採用されていたが、自動車後進国の日本での採用例はほとんど見受けない。代表的なメーカーとしてイギリスのルーカス社と東ドイツのクーゲルフィッシャー社(古いメーカーで、その後ボッシュ社に合併されたと聞く)、ボッシュ社が挙げられる。日産大森ワークスで経験したメカニカル・インジェクションはルーカスインジェクションとクーゲルフィッシャーの二種類であった。シルエットカー(長谷見スカイライン、星野シルビア、柳田ブルーバード)搭載エンジンLZ20Bターボにルーカスインジェクションが装着されていた。ルーカスはデリケートな性格を持っていて、燃料噴射量を決定するシャトルが少しの熱影響や摩擦で作動不良に陥るトラブルを多発した。

ルーカスインジェクションが装着されたLZ20Bターボエンジン
カムシャフトで駆動されるメカニカル燃料ポンプ(金色の部品)

メカニカルインジェクションの基本原理はシンプルで、エンジンカムシャフトで駆動されるメカニカル燃料ポンプで、燃料に高い圧力を掛ける。その高圧燃料によってシャトル(金属製で直径6ミリほどの丸棒)の移動量により、高圧燃料が噴射ノズルより噴出する。このシャトル移動量は偏芯カム(半円形のような形状をしたカム)により決定される。偏芯カムをグラインダーやヤスリで削って基本噴射曲線(一気筒排気量×回転数と予想発生出力であらかじめ計算式を用いて算出し、ベンチテストを繰り返し最良の燃料セッティング・カムを作り出す)を決定する。サーキットでは更に薄いシムを入れたり抜いたりして調整し、更にカム中心を決定する軸棒を回転(偏芯)させることで全体的な噴射量を変更。最適セッティングを捜し出す。このように良い燃料とは良い霧化と同時に最適噴射量(要求燃料)を瞬時に送り込まなくてはならない。どんなに良好な霧化が噴射されても混合気が薄かったり濃過ぎたら良い混合気とは言えない。
 鈴木亜久里選手と片山右京選手のF3エンジンを担当した時はFJ20エンジンにクーゲルフィッシャーを装着していた。スロットルはスライドバルブ方式で、この方式はターボエンジンではブースト圧により、スライドバルブが押し付けられ動かなくなるため使用できない。カムカバーを改造してカムシャフトでメカニカルインジェクション・ポンプを駆動する。ルカースインジェクションと比較すると構造はシンプル(?)でポンプもコンパクトであった。ポンプの中には円錐形をした噴射量を決定する金属製のカム(回転しない)がある。この円錐形の上側をスロットルと連動して移動する部品があり、その上下動により金属製シャトルが押し出され、シャトルが移動した分の容積(噴射量)の燃料が噴射される。ルーカスのシャトルが燃料圧力によって移動するのに比べてボッシュ(クーゲル)はスロットルと連動して強制的に移動するので信頼性が高い。FJ20(排気量2000cc)のアイドリング時の燃料セッティングは直径6ミリのシャトルが0.43ミリ移動するように設定していた。単気筒排気量500ccが1回爆発に必要とする燃料は直径6ミリ円筒形×高さ0.43ミリということになる。古いベンツ、BMW,フェラーリなどもKジェトロと呼ばれる形式のボッシュ・メカニカルインジェクションが装着されている車が多い。インジェクションポンプなどは基本的にはクーゲルフィッシャーの発展改良版と考えられる。
 日本車がキャブレターから機械式に移行せず、電子式燃料噴射装置を採用した理由は、電子技術の向上とマッチングしたからに他ならない。初期の燃料噴射装置は、当然ながら電気式燃料ポンプの作動音がうるさかったり、アクセルを何度か踏んでエンジンを始動しようとすると、燃料が噴出してしまいエンジン始動が困難になったりと、改善すべき問題点を幾つか抱えていた。当時はメーカーが新技術を投入してきた場合、発売当初から100%の完成度で世に出てくることは少なく、発売後に発生した問題点をスクリーニングするケースが多い。だからいまだにフルモデルチェンジ前の車はデザインを除いて熟成度が高いと言われている。また昭和51年度排気ガス規制が実施された直後には、坂道発進の際にエンジンがストールしてしまい、満足な発進が出来ない時期があった。コンピューターの燃料マップ設定の問題で、結果として燃料がリーンになってしまうためである。これがチューニングコンピューターが世に出始めるきっかけとなった。燃料マップを濃い目に設定変更するだけで、見違えるような走りが得られたためである。もちろん自動車メーカーも発売直後のクレームから改善を重ね、日を追って問題点は影をひそめてゆく。新たに学習機能が盛り込まれ運転する人に合わせて自動的に最適なセッティングへと変化するというフィードバック機能を搭載した。またハイオク指定車に誤ってレギュラーガソリンを入れてしまっても、ノッキングセンサーがノッキングを感知すると自動的に点火時期を遅らせ、点火マップを切り替えるエンジン保護機能も盛り込まれた。燃料を噴霧するインジェクターも発売当初はカチンカチンという作動音が大きく耳障りなどの欠点があったが次第に小さく改善された。更に良好な噴霧を得られるように噴霧する穴がシングルからマルチタイプへと改善されてきた。このように電子燃料噴射装置は年々進化してきているので、現在はロムチューンを実施したからといって、昔のような劇的な変化は得られなくなってきている。しかし大幅に排気量を変更した場合やレースなど特殊なケースでは必要不可欠なチューニングとなってくる。
その後も電子制御燃料噴射は進化を遂げ、燃料を微粒子化するために様々な工夫が盛り込まれる。微粒子に近づくほど短時間で綺麗な燃焼が促進され、出力(トルク・馬力・レスポンス)は増大し、燃費は改善され排気ガスが綺麗になるなど多くのメリットが生まれる。その技術ををもう少し詳しく解説してみると・・・
1−1:インジェクターの改良
 インジェクター噴射ノズルの噴射口の進化。発売当初の噴射口はシングルであった。それが2穴、4穴と次第に多くなり現在は12穴噴射口タイプが主流となってきている。当然ながら1個の穴径は小さくなり、高い加工技術が要求され手間も掛かるのでコストアップにつながる。しかし燃料が微粒化されるほど空気(酸素)と混ざりあい、良い燃焼に近づく。少し前の燃料粒子の大きさは150〜300μmのレベルが現在は1/3〜1/6の50μmまで微細化が図られてきている。
1−2:電子制御噴射装置制御の進化
 燃料の微細化がどんなに促進されても、必ずしも良い燃焼に直結しない。もう一つ重要な点はエンジンが要求する燃料を各種センサー(エアーフローメーター=吸入空気量を測定。O2センサー=排気ガス中のO2の量を測定しフィードバックする。吸気温度センサー=吸入空気温度を測定し高温になるほど燃料を薄くする。水温センサー=水温が低いと燃料を濃くする必要性がある)がDATAをECU(エンジンコントロールユニット)で集中演算し、インジェクター開弁時間を決定する。つまりエンジンは負荷の増減、水温など様々な条件で必要とする燃料の量が変化するので、エンジンの要求する最適な燃料を噴射しなければならない。同時にスパークプラグに点火する最適点火時期も変化する。従って、燃料の微細化→要求燃料に合致した量の噴射→最適点火時期での点火が正しく行われ、初めて完全燃焼に近づくわけである。レーシングカーに於いては燃料温度を測定する燃料温度センサーを取り付けて、少しでも出力をアップしようと努力していた。この他に学習機能や推定学習機能を盛り込んだりして、エンジンが要求する最適量の燃料を最もタイミング良く噴射できるように絶えず研究が続られている。またECUは水分や高温に弱いため、室内に設置されてきたが、エンジン側と沢山の配線で連結されるため車両重量の増加、配線コネクターの接触不良による信頼性の低下などの欠点を改良すべく、エンジンルーム内に設置される車も出てきた。
1−3:後付けアイテムの登場
 サードパーティー各社が独創的な製品をリリースしている。当然ながら点火系を強化するパーツや完全燃焼を促進する目的を持つ製品も数多い。燃焼促進だけでも大別して次のような製品をリリースしている。
○燃料ホースに磁石や遠赤外線、マイナスイオンを発生するトルマリン等を装着
○燃料タンクに錠剤や液体などを投入
○オクタン価をアップする製品や燃料を微細化する製品

2:良い圧縮
まず基本的として、圧縮比と圧縮圧力の違いを整理しておこう。圧縮比とはエンジン設計の段階で最初から決定される容積比のことである。ピストンが最下点の時(下死点)の容積と一番上昇した時(上死点)の容積比であり、10:1などと表される。この容積比はほとんど変化しないが、燃焼室内のカーボン蓄積によりほんの少しだけ変化する。従ってシリンダーヘッドガスケットの厚みを変更したり、シリンダー下面を研磨加工したり、燃焼室を削る加工、ピストン変更、ボーリング、ストローク変更などで部品交換を実施すると変化することになる。圧縮比を知るにはカタログや整備要領書に記載されているスペックで調べることできる。またOHした際などは燃焼室に灯油を流し込んで容積を測定、算出できる。
圧縮圧力はコンプレションゲージを用いて測定する実質圧力である。
測定の基本は
○エンジンを始動し、水温が適温となるまで暖気運転する。
○スパークプラグを全数取り外す。
○プラグコードに火花が飛ばないような処置をする。(配線を抜いたりする)
○コンプレションゲージを用いて測定する。基本的には2人作業で行う。
※セルモーターを回転させるので、バッテリーが劣化していると正確な測定が出来ない。測定が進むにつれて電圧が降下し回転数が落ちてしまうためである。この落ち込み割合を予測する簡単な方法として、最後にもう一度、一番最初に測定した気筒を測定し、最初の値と比較する方法がある。(測定値が変化していなければ落ち込みがないこととなる)
圧縮圧力の落ち込みは、そのままエンジン出力の低下となって表れる。圧縮圧力が変化する要因を並べてゆくと
A:バルブとバルブシート密着具合
B:バルブタイミング変化(特にチューニングエンジン)
C:ピストンリングとシリンダーの密着具合
D:オイル粘度
の4項目により決定される。測定の際に一番影響力が大きいのはセルモーターの回転数となるが、実稼動状態にてエンジンが始動している場合の実質圧縮圧力は、上記4項目が大きく影響する。
A:バルブとバルブシート密着具合
エンジンオイルの潤滑能力が唯一発揮できないところがバルブ当たり面とバルブシート接触面である。そこでバルブとバルブシート磨耗を防止する目的で、昔は燃料に鉛を添加していた。有鉛燃料が廃止され無鉛燃料へと変わるとバルブシート材質の見直し変更が行われる。(現在では無鉛適合エンジンとなっている。)しかし長期間の使用を続けるとバルブシートの磨耗、バルブの磨耗、バルブガイド&ステム磨耗、更には排気側バルブは排気ガスカーボンの蓄積や噛みこみで当り具合は悪化し、圧縮圧力の漏れが増大してゆく。燃料(洗浄剤が添加されている)や燃料添加剤の使用により、排気ガス中のカーボンを減少させようとする手段が、どこまで有効であるかは見えない場所だけに実際の検証は難しい。
B:バルブタイミング
バルブタイミングも圧縮圧力を形成する重要な役割を担っているが、普通のマニアレベル以前の人はバルブタイミングの測定・変更などは行わないので、関わりの無い項目である。しかし高度なチューニングを実施しようとすると避けて通れない技術のひとつとなる。バルブタイミングとは、ピストンがどこの位置にきたらインテークバルブを開き、どこで閉じるか、同様に排気バルブもどの位置で開き、どの位置で閉じるかを360度円形図(実際はクランクシャフト2回転の720度⇒藤沢式)で表した図である。従ってピストン上昇による圧縮はバルブ開閉と連動して成される訳だから、バルブタイミングが変化すると圧縮圧力も変化する。大幅なチューニングを実施して圧縮比を高めた時、同時に作動角の大きな(同時にバルブリフト量の大きな)ハイカムシャフトを組み込むことが多いが、圧縮比を高めてもIN&EXバルブが開いている時間が多くなるため、実際の圧縮圧力上昇は抑制されることとなる。実はこのように圧縮比決定はカムシャフト作動角と密接に関係していることを考慮して選択しなければならない。一般のタイミングベルトが採用されているエンジンでは経年劣化によりタイミングベルトが延びるため(近年の自動車は、対策として自動調整式テンショナー採用車が多い)バルブタイミングの遅れが発生する。5〜6万km走行後のエンジンのタイミングベルト緩みを調整したら、体感で解かるほど調子良くなることがある。この例が示すように劣化は日々、非常にゆっくりとしたスピードで進行するので、なかなか自覚出来ない。
私の著書に「バルブタイミング(グランプリ出版)」という本がある。
アマチュアだけでなくプロの方にも参考書として利用して頂いている。
専門書でありながら、初心者にも判り易く解説しているので、
興味のある方は読んでみて欲しい。
C:ピストンリングとシリンダーの密着具合
ピストンリングとシリンダーの密着具合も、圧縮圧力を大きく左右する要因である。理由は極めて簡単なことで、大きな直径を有するピストンがシリンダーという円筒形の中を、大きな上下動(一般的ストロークは約60〜80ミリ)で高速往復運動を繰り返し、かつ密閉を保ちながら圧力を作り出すという離れ業を行っていることにある。通常のピストンクリアランスは40μ〜60μ(この隙間は片方にピストンを押し付けた場合の最大クリアランス。エンジン稼動中は半分の20μ〜30μでエンジン周囲のクリアランスがが保たれている)という超精密度を要求される。このクリアランスはエンジン温度の変化により当然ながら絶えず変化する(アルミニューム合金で出来ているピストンの熱膨張率は大きい)ものであり、シリンダー温度的分布は均等ではないので絶えず歪が出るものである。燃焼室は1000℃を超える高温となるので、アルミ合金製のピストン頭部は燃焼温度の影響を受け、膨張率が大きくなるため、あらかじめピストンスカート部(下部)より直径が小さく作られている。
 ピストンとシリンダーの間でピストンに取り付けられたピストンリングは、常に外側へシリンダーを押していることにより圧縮圧力を逃がさないようにしている。専門的になるがリング張力を強くすると、圧力の漏れが少なくなりオイル消費量は減少する反面、フリクション(摩擦抵抗)が増大してしまう。リング本数は標準的にはコンプレッションリング2本とオイルリング1本の合計3本であるが、レーシングカーなどでは摩擦抵抗低減効果を狙って2本リングも多く採用された。また最近は省燃費化のために2本リングが純正採用される車も多くなってきている。一度でもエンジン分解や組み立て経験があれば、エンジンクランクシャフトを回そうとすると素手では回しきれないほど重いことをご存知だろう。この重さの原因のほとんどはピストンが空気を圧縮するポンピングロスと、ピストンリングがシリンダー壁を摩擦する擦動抵抗、カムシャフトがバルブスプリングを圧縮するスプリング反発力の合算された重さである。2本リングは3本リングと比較にならないくらいエンジンは軽く回る。問題は2本リングにした際の、長期使用(メーカー保障を過ぎてから)でのオイル消費とエンジン出力の落ち込みである。
 ピストンリングには合口隙間と呼ぶ隙間が設けられ、リング収縮を吸収する役目を担っている。トップリングの合口隙間とセカンドリングの合口隙間が直線上に並べば圧縮圧力は逃げやすくなるので、ピストンをシリンダー内に組み込む際はリング合口隙間を180度ずらして組み込む。ピストンリングの厚みはフリクション低減目的の場合、薄くなる傾向を示す。薄くなれば接触面積が減少する理屈である。しかし反面、圧縮漏れは多くなりオイル消費が増大する理屈になるので、周辺技術によりカバーしてやらないと成立しない。エンジンオイルはこのリングとシリンダー接触面に薄い皮膜を形成し、双方を磨耗から防止する役目と同時に、皮膜形成作用によって微細な隙間を埋める「密閉作用」も受け持っている。これを硬い粘度にすれば理論的には皮膜が厚くなり、圧縮漏れ対策になるが、オイルも同様に粘度を硬くすればフリクションの増大を招く。
D:オイル粘度
金属と金属が互いに摺動すると、必ず接触摩擦が発生し表面が損傷したり発熱により焼きつくことになる。そこで潤滑油を用いて摩擦と磨耗損傷を低減する必要性が出てくる。また、高度なメカニズムになると潤滑油に対し、潤滑以外の様々な作用が要求される。(防錆作用・冷却作用・洗浄作用」etc.)また、ベースオイルは大きく分けると次の四種類に分類できる。少し前まではABCの3種類であったが、近年になって下記項目のD:製法が登場し使用され始めている。
A:化学合成油
B:部分合成油(半化学合成油)
C:鉱物油
D:水素分解基油または高粘度指数基油(VHVI基油またはHIVI基油と表示される)

化学合成油は更に次の二つの成分に分類される。
鉱物油は「原油から不要な成分を次第に分離除去してゆく」作業により製造される。化学合成油は鉱物油と同じ原油を材料として製造されるが、大きな相違点は「材料を意図的な化学組成に組み替え合成する」ことである。つまり、分解ではなく合成によって製造される。    
A−1:ESTER(エステル)
 エステルはアルコールと塩基酸との化合物で、航空機( ジェットエンジン油)として実用化が図られた。
アマチュアの議論ではエステルとPAOのどちらが優れているかという単純な議論で終始しているが、エンジンオイルの最終的性能の全てを左右する訳ではない。なぜなら内部添加剤成分の成分配合比率(基油に対して約25%前後の添加比率)も性能を大きく左右するし、エステルも性能の異なる(ジ・エステル、ポリエール・エステル、ポリエール・コ・エステル、リン酸・エステル、ダブル・エステル、複合エステル、コンプレックス・エステルなど)のエステルがあるので、どのエステルと比較するかで結果は変わってしまう。

A−2:P.A.O(ポリアルファオレフィンまたはポリαオレフィン)
粘度指数と流動点に優れているので、当初は航空機用といして用いられた。誕生した当初はオイルシール(アクリロニトリル)を収縮させてしまうという欠点を持っていたが、次第に改良されて現在は問題とならないレベルに達している。

B:部分合成油(半化学合成油)
文字通り化学合成油と鉱物油を混ぜたものである。宣伝では化学合成油の長所ばかりがアナウンスされるが、欠点としては大きな耐荷重特性や洗浄分散作用などが弱い短所を持っている。だから鉱物油と混合することにより互いの成分の長所を生かし欠点を補い合うことが可能となってくる。各社とも詳細な配合比率は明らかにしていない。実際に市場では100%化学合成油製品よりも部分合成油の方が評価が高い場合もある。

C:鉱物油
鉱物油は原油を蒸留・精製して作り出された主に脂肪族飽和炭化水素であり、最大の短所は耐温度特性が化学合成油に比べると低いことである。しかし、ディーゼルオイルに盛んに使われるように全部の性能が悪いわけではない。逆に考えるとガソリンエンジンの圧縮比が8〜10:1に対してディーゼルエンジンの圧縮比は2倍以上ある。オイルは黒煙の影響で短期間の使用でもイカ墨のような真っ黒なヘドロ状態となるので、潤滑から考えたら過酷である。実際、タクシー会社(プロパンガス燃料が多い)などは安いディーゼルオイルを1ヶ月に1回定期交換を実施して数十万kmの耐用年数を維持している。鉱物油はパラフィン系、ナフテン系、アロマテックス系という三種類の炭化水素から出来ている。その中でアロマテックス系炭化水素が非常に熱に弱いので、鉱物油の耐温度特性が著しく劣ってしまう主原因となってしまう。

D:水素分解基油または高粘度指数基油(VHVI基油またはHIVI基油と表示される)
最近になって盛んに使用されるようになった。その大きな理由は温度変化による粘度変化が少ないという優れた性質を持っているからである。つまり粘度指数が高いということは低温時に粘度が固くなりにくく、高温時には柔らかくなりにくい優れた特性を持っている。

3:良い火花
良い混合気を作り出し、良い圧縮を行ったとしても、最後に良い点火を行わなければ良い結果は得られない。だからチューニングアイテムで、点火系チューンに関するアイテム数が多いのもうなずける。プラグギャップの広さと点火装置のパワーは相関関係にあり、点火装置が強力であればプラグギャップも広く設計できて、その結果、更に強い火花を生み出せる。ポイント式の頃のプラグギャップは0.6〜0.8ミリと狭かった。電極が磨耗して0.9ミリ以上広くなるとエンジン始動性が悪化した。その後、セミトランジスター、フルトランジスターと無接点式点火装置を経て現在に至るが大幅な排気ガス低減(昭和53年規制)をアメリカから迫られたことから、その難題を解決すべく各自動車メーカーが持てる総力を注ぎ込んで開発競争に入る。ここで徹底的な燃焼解析に取り組み、燃焼室形状の見直し、点火装置の見直し、EGRなど排気ガス還元装置、ブローバイガス還元、冷却水(温度)制御など新技術が開発されることとなる。プラグギャップも1.1ミリという広い基準が生み出され点火装置も強力な物へと改善された。

4:良い潤滑
オイル潤滑の性能を言葉で表現するのはとても難解な問題となる。他の項目で解説しているように馬力に表れる部分は要素的に言えばオイル潤滑性能の10数項目ある性能に対して、ほんの一つしか表していない。日本では大多数の消費者が一番気にするのが馬力という数値で反応するため、広告で「大幅馬力向上」と謳うことが多く見受けられる。燃焼が改善されフリクションロスが低減することにより自然と馬力は向上するが、走りで感じる部分では馬力向上の恩恵を体感する機会は非常に限られてくる。
 「良い潤滑」と一言で済んでしまうが奥は限りなく深く広い。初期性能が凄く良いオイルも初期の頃は「良い潤滑」を発揮する。「良い潤滑」が行われるとシリンダーとピストンリング双方の当る接触面は良好に保たれ(改善されることもある)シリンダー密閉度は向上し圧縮圧力の漏れが少なくなり完全燃焼に貢献する。従ってブローバイガスも低減し混合気がオイルパン内に吹き抜けるブローバイガス量は少なくなりガソリン希釈によるオイル粘度低下率も減少する。同じく排気ガスを押し出す際の排気ガス吹き抜け量も減少するのでオイル汚れやスラッジ量が軽減するなど「良い循環サイクルを繰り返し更に向上を続けてゆくことを新発見した。これは従来の性能を大幅に上回る超高性能潤滑レベルの製品を長期間継続して使用することにより可能となった。
 「良い潤滑」が行われフリクションロスが低減すればするほどエンジンは仕事量が減少するため少ない燃料を要求することになる(要求燃料の低下)。このことを理解することは簡単なことでディーゼルエンジンが急坂を登るほど黒煙をモウモウと吐く原因を考えてゆくと解かり易い。つまりエンジンに重い負荷が掛かるほど(仕事量の増大)燃料を沢山必要とする(要求燃料の増加)実はガソリンエンジンでも同じことが発生しているのだがディーゼルエンジンほど黒煙が目に付かないために目立たないだけである。その証拠に排気管テールパイプ内を観察してみれば黒煙が沢山付着していることに気がつき愕然となる。フリクションロスは仕事量に換算できるのでフリクションロスが大幅に減ることはトラック荷台の荷物を軽くしたことや車両重量軽量化と同じ意味合いを持っている。また、急坂の勾配がゆるい勾配の坂道に変わったことと同じような意味合いを持つことになる。つまりエンジンに掛かる総体荷重の減少となって現れてくるので燃焼にも大きな影響を与え完全燃焼に近づくことになる。
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7−2:アイドリングの振動を観察すると燃焼が解ってくる

 いままでの常識は(今でも多くの人がバランス取りはチューニングの必須条件と思い込んでいるが)コンロッドやピストンの重量合わせを実施したり、クランクシャフトのダイナミックバランスを実施することが、チューニングでは絶対必要と考えていた。実は「コンロッドやピストンの重量合わせ」と「クランクシャフトのダイナミックバランス」は、まったく別の意味合いを持つことを一般の人は知らない。
A:コンロッドやピストンの重量合わせについて
 フル・チューニングではピストンを鍛造ピストンに交換したり、コンロッドをチタンコンロッドに交換したりすることは頻繁に行われる。すると交換するピストン重量、ピストンピン重量、コンロッド重量には大きな重量誤差があることが一般的である。そこで重量を測定して誤差を修正する作業が不可欠となってくる。これはフル・チューニングでの話であるが、一般の人は生産車においても、まったく重量差など無視して組み立てられていると大きな誤解をしている人が多い。自動車を設計・開発・生産する自動車メーカーは、しっかりとした開発力と量産技術力を保有している。生産現場では、前もってピストン重量、コンロッド重量を測定して「ある一定の誤差範囲(約1g以内)に収まるようにグループ分け」して生産ラインに流している。その誤差は僅かであり、改めて重量誤差を修正する意味合いは無い。その数グラムで大きく性能や燃費に影響が出るようであれば簡単に重量誤差をゼロ近くにすることは、自動車メーカーにとって極めて容易なことである。(もちろんコストアップに直結することなので必要性が無ければ実施しない)このように考えてゆくと一般車を分解してピストン&コンロッドを交換しないチューニングではピストン&コンロッド重量測定、調整の必要性は皆無と言える。この作業は例えばコンロッドメタルが一箇所のみ焼きついてしまい、コンロッドを1本だけ交換しなければならなくなった場合なら不可欠な作業となる。コンロッドを1本購入した場合、残りの無傷なコンロッドより重い場合は救われる。その理由は購入したコンロッドのみを削って他のコンロッドの重さに合わせるだけで良い。その反対に軽いコンロッドを購入してしまえば、その軽いコンロッドに残りの全てのコンロッドを削って重量を合わせなければならなくなる。私は部品を購入する際に重量計を持参してコンロッド重量を測定してから購入する自衛策を取った。このように部品交換が発生すると重量誤差は大きくなるから重量合わせが必要となるが、何もしない単なるOHの場合はピストン&コンロッド重量が大きく変化してしまう事態は発生しない。つまり普通のOHなら狂わない。
A:クランクシャフトのダイナミックバランスについて
私もチューニングショップを一時期行っていたので、クランクシャフトのダイナミックバランス加工を何度か依頼された。AE86ノーマル・クランクシャフトを仔細に観察してゆくと、直径約12ミリで深さが異なる穴が(ダイナミックバランス調整実施目的で加工された)バランスウエイト部分に10数個開けられていたのである。つまりピストン&コンロッド重量と同じように自動車メーカーは手間暇(つまりコストアップも意味している)掛けて必要なバランスをしっかり取っていた。その証拠にダイナミックバランスを加工屋さんに出す前と帰ってきた後の違いは、深さ数ミリの穴が2個追加されただけであった。このことが意味することは「ノーマル・クランクシャフトのバランスの狂いは数グラム以内に収まっている」ことを意味している。この数グラムの違いで「振動が出たり」「高回転が綺麗に回らない」なんてことにはならない。クランクシャフトのダイナミックバランスは一度バランス調整を取ってしまえば、タイヤのバランスと異なりその後狂うことはない。もちろん何かの原因でクランクシャフトが大きく曲がってしまえば多少の振動の原因となることも有り得るが、遅からずメタル焼き付きの可能性が高まることになる。10万km走行したとしてもオイル強制給油潤滑によって、クランクシャフトは大きな磨耗から保護されているのでダイナミックバランスが狂うことはない。ただし、自動車レースなど勝負の世界に於いてはクランクシャフトの単品バランスではなくフライホイールやクランクシャフトプーリー(場合によってはクラッチディスク&カバーも含めた)一体バランスを取ることも多い。最高回転数や常用回転数が高いので必要となってくる。この二つの大きな違いが混同されて語られることが多い。
オイル潤滑が悪くなってくると「オイルがタレた」とか「オイルが劣化した」「オイル寿命が尽きた」などと一般的に表現される。この場合は油温の上昇(油圧低下)、高回転の上昇悪化、加速悪化(レスポンス悪化)、トルク低下、メカノイズ増大、燃費悪化、振動増大、アイドリング悪化、排気音バラ付き等、何らかの兆候が現れる。次回のオイル交換の際には交換前の状態と交換直後の状態の変化を仔細に観察してみて欲しい。その違いを必ず確認できる筈である。特に微振動に関しては、交換前後の違いがハッキリと判る筈である。それでも振動が出ている場合はスパークプラグ、プラグコードなど電装系劣化である可能性が高いと考えられる。私も昔は真っ先にスパークプラグやプラグコードを新品に交換していたが現在は先にオイルを交換してみて振動が収まらないときに始めてスパークプラグ交換に踏み切るなど正反対のアプローチとなっている。
振動を詳しく分析してゆくと燃焼のバラ付きが見えてくる。特にアイドリングでは燃焼の違いは顕著にタコメーターの上下動や振動となって表れてくる。デジタルタコメーターなどでアイドリング回転数の上下動を調べると判りやすいのだが、オイルやプラグが劣化すると(他にも完全燃焼を阻害する要因が生まれると)回転数は上下に約50回転も振幅を繰り返しすようになる。また、燃焼ミスが発生し一瞬、排気音が途切れたり、反対に排気音が変化したりする。その途端に回転数は大きく変動を繰り返す。これとは反対にオイル性能が良好であればアイドリングは安定し、電子制御車ではISC(アイドリング・スピード・コントロール)バルブ開弁率は減少し、回転数が安定してゆく車を多く見受ける。もちろんISCバルブ制御はもっと複雑でエアコンのON・OFF、水温、その他の諸条件(パワステ負荷など)を各種センサーから受け取って制御する方式なので、何らかの負荷が増大すると開弁率は高まりアイドリング回転数をアップしてエンジンを安定させる方向で制御を行っている。このISCバルブ開弁率を仔細に観察すると良いオイルと悪いオイルの差が如実に開弁率に反映され違いを知ることができる。
この開弁率チェックを、ディーラーではコンサルト(日産)を用いている。
個人レベルではテクトム(TECHTOM)のMDM−100マルチ・ディスプレイ・モニターがお手軽だろう。
この装置はECUからの各種信号(開弁率のみでなく水温、吸気温、インジェクター開弁率など10数項目)を知ることが出来るので大変便利である。オイル交換前と後の(同一油温度にするため暖機後は必要)ISC開弁率を調べることで、オイルの劣化具合、交換時期、オイルの善し悪しが手軽に判断できるだろう。
他の項目でも書いているようにオイル劣化は「悪い連鎖の始まり」なので、振動だけでなくメカニカルノイズ増大、燃費悪化、その他、何十項目と悪い連鎖で影響を与え、ダメージを蓄積してゆくことになる。良い連鎖と悪い連鎖では使用時間、走行距離の増大に伴い、まるで違った世界へ(正反対の状況)と知らず知らずの内に進んでゆくことになる。
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7−3:技術の進歩についてゆけない人がいる

 自動車やオイル性能の進歩には目を見張ることが多い。それまでの常識が一夜にして非常識になることも珍しくはないのだが、人間は一度常識としてインプットされると、その常識が邪魔をしてなかなか常識の枠内から踏み出せなくなってしまうことが多い。世の中はめまぐるしく変化を遂げ続けているので常識ばかりにとらわれていると物の本質が見えてこなくなる。チューニングの技術書を見てゆくと、今だに30年前の理論が満載されたものも数多く見受けることになる。
私も含めてまったく新しい技術を応用した商品の効能はにわかには信じられない。実際に自分自身で使ってみて、効果を身を持って体験してから初めて真偽の程が確認できる。広告のキャッチコピーと異なり、期待していなかった割には高い効果が得られて喜んでみたりする。他でも書いているように自動車は複雑で、様々な要素で体感効果は大きく異なってくる。たった1台で得られた効果でその商品の性能を論じることほど危険なことはないのだが、インターネット時代の情報はそんな背景を無視し、飛び交うことも沢山見受ける。そこから正しい情報を得るための手立てはリサーチするしかない。少なくとも10台の使用例を確認することである。確認したい製品名と自分の車の名前を検索サイトで検索すれば、自分と同じ車の人が一人や二人はいる筈。さらに製品名だけで検索すれば、10台くらいは楽に探せる筈である。10台あれば色々な車で色々な条件で色々な意見や評価を見ることができる。10台中、7〜10台で高い評価を得られている商品であれば、使用してみて体感度が低かったとしても車にとって何も悪い影響は無いと言えるだろう。反対に10台中、1〜3台しか良い評価を得られていなければ、その商品を使用する意味合いは薄いと判断すべきだろう。また、補足として、真偽の判断に迷った時は、自分の既に使ったことのある製品DATAが掲載されていれば、それを比較することが有効だ。自分が使ってみて明らかに×だという製品に良い評価を与えているサイトは疑ってかかってみても良いだろう。
私は自動車産業が飛躍的に成長する成長期(昭和30年代中期)に自動車産業(製造&修理)に深く関わった。そして日本のモータースポーツが成長を遂げ始めた第3回日本グランプリ以降のレース&ラリー&チューニングの世界に飛び込んだ。つまり日本の自動車産業発展とチューニングの進化と共に歩んできたことになる。
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第八章 アナログかデジタルか?