第十章 今何が解明されてきているのか?
 自動車に限らず、どんな世界でも同じことが言えるが、昔の古い常識に囚われて抜けきらないでいるか常に先を見て研究を重ねているかで物の見方や結論は大きく異なってくる。「自動車大好き」から始まって、どっぷりと自動車メカニズムの奥深さを味わってきた訳だが、次々と新技術が盛り込まれ進化してきている自動車の中で、ひとつだけ残念なことは「複雑になり過ぎて簡単にいじくることが出来なくなった」ことである。アナログ的な私であるから、時計の動くのを見てバラバラに分解して中味を調べるうちに自然と構造や作用を勉強できた。自動車の構造や作用も最初は分解することで学んできた。理解するのに一番手っ取り早い方法である。ところが制御が複雑になればなるほど、分解しただけでは作用が解からない。実際に組み付けて始めて作用する制御が多くなってきている。そうは言ってもオイル潤滑は複雑な制御に大きな役割を持ってメカニズム内部で重要な作用を担っている。だから制御に問題があって欠点が感じられた際に、添加剤で制御の欠点すら改善できたりするのである。一例を挙げればニッサン・トロイダルCVTの開発(日本精鋼)では「通常圧力下では潤滑性を持ち高圧力下では固形化(伝達)する」トラクションオイルの解決が不可欠であった。
メカニズムとオイルは切っても切れない深い関係にあることは誰でも容易に理解できる。その考えを一歩進めて推察するとオイル性能の重要さを改めて知ることになるに違いない。全ては、その人の技術レベルと経験を含めた基本的考え方で決定される。他の項目でも書いてきたように、日本中にオイル開発者は沢山いるし(試験機を用いた開発)車両開発者も沢山いるが「メカニズムとオイル潤滑との深い関わり方」を研究している人は何人いるのだろうか。私は科学者ではないが、自動車製造、自動車整備、ディラー勤務、チューニング、エンジン開発と多岐に渡る実務経験を重ねるうちに、潤滑レベルの違いによりメカニズムが発揮する性能に大きな落差があることに着目し、液体チューニングを追求している。この研究での最大の課題は「常識的な潤滑性能では落差はクローズアップされないので研究の意味を持たない」ということであった。その課題をクリアするためには、既存製品の潤滑性能を大幅に上回る液体の開発が不可欠であり、やっとの思いで製品をリリースしたのが15年前のことになる。
私が長年掛けて蓄積したノウハウとオイル開発を通して新発見した「潤滑とメカニズムとの深い相関関係」は、オートメカニック臨時増刊(1995年発売)「間違いだらけのエンジンチューニング」に於いて50項目にわたり発表した。(但しその当時は轟名人というペンネームを用いていた)。その後、表題は年々少しづつ変わりながら2005年と10年間も続いている。
そこで表題をまとめてみると・・・
1995年 間違いだらけのエンジンチューニング(轟名人)
1996年 間違いだらけのエンジンチューニング 著者名なし
1997年 休刊
1998年 エンジンを元気にする?チューニング
1999年 エンジンを120%元気にする(秘)チューニング(轟名人)
2000年 エンジンを120%元気にするファインチューニング(轟名人)
2001年 エンジンを120%元気にするファインチューニング 著者名なし
2002年 エンジンを元気にする100の方法 著者名なし
2003年 エンジンを元気にする100の方法 轟名人(藤沢公男)
2004年 エンジンを元気にする100の方法(藤沢公男)
2005年 エンジンを元気にする100の方法(藤沢公男)9月17日発売
この本も多くの愛読者の方に支えられ、発売10年間の長きに渡って発売され続けている。
私もこの本の発売を楽しみに待っている読者のために新しい記事を書くのが長年の愉しみ・励みとなっている。
エンジンオイルや燃料添加剤でマニュアルミッションのギヤの入りに影響が出てギヤが入りやすくなる。FR車のデフオイルを交換しただけで100km/hクルージング時のエンジン回転数が200回転ドロップする車がある。これはデフのフリクションが大幅に低下したためにクラッチ滑りが減少し200rpm下がったことを意味している。初めてこんな話を聞けば「真実とは思えない」「あやしい」「ホラ吹き」と酷評する人が必ず出てくる。時速100km/hアクセル一定速度で走行中に誰も(?)クラッチが滑っていることなど気がついていないのだから。もちろんズルッと滑るのではなく数ミリづつ小刻みに動いてゆくから普通は解らないし想像もつかない。

液体と一口に言っても、エンジンオイルの難しさを簡単に言い表すことはできない。どんなに性能の良いオイルを開発しても粘度や性能がそのエンジンのスペック(構造やクリアランスや冷却方法や磨耗損傷具合、その他)やドライバーの運転方法(アクセルの踏み方や走行方法)や使用条件(気候風土や道路事情)など総合的にマッチングしないと最善の結果は得られない。それでは最善のマッチングは?と問われても私でも即答することは困難だろう。

■マッチングを千差万別にする要因として挙げられる項目は・・
A:エンジン構造による違い
□レシプロ・エンジンを更に分類すると
A−1:直列方式
A−※更にNAと過給機付(ターボチャジャー、スーパーチャジャー)と分けられる。
A−2:V型方式
A−※更にNAと過給機付(ターボチャジャー、スーパーチャジャー)と分けられる。
A−3:水平対抗方式
A−※上記方式で更に水冷式と空冷式に分けられる。
A−※更にNAと過給機付(ターボチャジャー、スーパーチャジャー)と分けられる。
A−4:ロータリーエンジン
A−※更にNAと過給機付(ターボチャジャー)と分けられる。

B:ピストンクリアランスとのマッチング
B−1:ピストンが鋳造品
B−2:ピストンか鍛造品
B−3:純正ファミリーカー
B−4:純正スポーツカー
B−5:競技車
B−6:オールドカー
B−※OH後や新品組み立て時のピストンクリアランスは走行距離増大による磨耗進行に伴って広がってゆく。一般的な新車のピストンクリアランスは40〜50ミクロンほどである。
B−※またクリアランスは油温の影響を受けて膨張するピストン直径の影響で変化するため、使用するオイル潤滑レベルで大きく変化する。(粗悪品と高性能品との油温の違いは最大約20℃というDATAが得られている。)
B−※冷却方式が水冷式か空冷式かの違いによってピストンクリアランスも大きく影響が出る。空冷式のオートバイが渋滞にはまって動けなくなるとエンジンストールしてしまうのも、クリアランスが狭くなり過ぎるのも一つの要因と考えられる。
B−※TSサニーなどの競技用エンジンのピストンクリアランスは色々と変更して試した経験がある。当然ながら鍛造オプションピストンだったので百分の7(70ミクロン)、百分の8、百分の9の3種類を比較した。ピストンさえ接触損傷しなければ百分の6とか狭いほど密閉効果は高まり燃焼には有利に働く。ただし接触損傷してしまえば抵抗は増大し性能は低下し反対にオイル上がりが多くなり最悪はエンジンブローしてしまう。クリアランスひとつ取り上げても、どのクリアランスが正解だけではなく、ボーリング精度(ダミーブロック採用有無やテーパー度、心円度)ピストン材質や設計、冷却、オイル性能、使用回転数、最高回転数などの他の項目でも最適値は変化してしまう。またOH時に百分の8で組み込んでも、ワンレース(練習、予選、本番20〜100周)使用してOHした際に測定すると百分の9に広がっている。シリンダー側の磨耗より主としてピストンスカート部の磨耗(ピストン最大寸法)による影響が大きいと推定される。
C:ドライバーの運転方法
C−1:ほとんどアクセルを踏まず、ゆっくり加速する人
C−2:一般的(平均的)なアクセルの踏み込みをする人
C−3:過激な踏み方を常時する人
C−4:強く踏み込んで加速し、一定速度に達したらアクセルを一度戻し軽く微調整する人
C−※上記の4項目に分けたが実際はもっと複雑で細かく分類すれば10項目ほどに分類できる。
C−※更に走行方法は人によって異なり千差万別である。

D:車の使用条件
D−1:主に通勤で毎日使用する
D−2:主に業務として毎日使用する
D−3:主に買い物で毎日使用する
D−4:休日に買い物で使用する
D−5:複数所有で使い分ける
D−6:たまにジムカーナやスポーツ走行する
D−7:主に競技で使用する

E:気候風土と道路事情
E−1:気温は地域により大きく異なる
E−2:主に山坂を走行している
E−3:主に高速道路を使用している
E−4:主に信号の多い渋滞路を使用している
E−5:主に信号は少なく混雑していない道を走行
E−※:首都圏の真夏の環境は自動車にとってみれば世界一過酷とも言える。
慢性的渋滞、高温多湿、頻繁なストップアンドゴー、エアコン常時フル回転。雨でワイパーを回せば最悪である。

F:自動車を何年間、または何万km使用しようと考えているか
F−1:1回目の車検で買い替えを検討
F−2:とりあえず大きな故障が起きないうちは使用する
F−3:可能な限り長く乗りたい
F−4:趣味として購入したので最大限良いことをしたい
F−5:高級車なので最善のメンテナンスを施したい
F−※ある意味ではオーナーの考え方はメンテナンスを含めて愛車に大きな影響を与えている。


オイルで問題となる性能は下記項目がある。
A:メカニカルノイズの大小
B:メカニカルノイズの持続性
C:燃費の変化
D:燃費の持続性
E:オイルの初期性能、中間性能、使用後半の性能
F:オイル性能の長期間の変化と持続性
G:ブローバイガス噴出し量
H:油温変化、油圧変化
I:オイルの汚れ具合
J:燃料による希釈状態
K:圧縮圧力の変化と持続性
L:トルク変化と持続性
M:最高出力の変化と持続性
N:ピックアップ変化と持続性
O:加速力変化と持続性
P:オイル消費量の変化

このようにオイル性能はエンジンに多岐に渡って大きな影響を与えるものであり、交換直後の初期性能だけでなく、交換直前までの長いスパンで総合的に評価しなければならない。
戻る



 
10−1:飛躍的に伸ばすことができる車の耐久性と快適性

 自動車を開発する上でコストの制約は大きく、ターゲット層に合わせた販売価格に見合うコストで決定される。しかし、消費者が主に求めるのは、耐久性よりもカタログスペックに表れる性能(最高馬力、最大トルク、加速タイム、最高速度、省燃費)と豪華装備や便利装備や最新装備(営業的に)であったり、衝突安全性が大きなウエートを占める。心の中では20年間20万km性能が維持する耐久性を望んでいても、無理だと思って口に出して要求する人をめったに見ない。暗黙のうちに自動車や機械が劣化し、故障するのは当然だと認識しているからかもしれない。また、そんな贅沢な要求を言えば言うほど販売価格に反映され、高価になることを危惧するからかもしれない。確かに製造コストを無視して少し贅沢な材質や設計を盛り込むことにより耐久性は高まってゆく。どこで折り合いをつけるかが開発技術者の腕に掛かってくる。
材質的に考察すれば昔はアルミニュームが軽くて錆にくいということで盛んに使用された。コストを無視して性能のみを追求するモータースポーツの最高峰F1レースの歴史は、材質の歴史でもある。ボディはアルミニュームからグラスファイバーと変わり、今やカーボンファイバー全盛となり、クラッチ、ブレーキローターからサスペンションアームまで広く使用されている。しかし、カーボン繊維製品は現代でも高価であり、コストパフォーマンスは低くなってしまう。


エンジンの経年劣化や故障に起因する箇所

A:子メタル・親メタル焼き付き
推定原因潤滑不良(オイル低性能、オイル量不適合、オイルパンのオイル片寄り)、クリアランス不適合(ごみの噛みこみ)、クランクシャフト曲がり増大、磨耗損傷の進行
B:ピストンリングとシリンダーの磨耗損傷、オイル消費増大、燃費悪化、圧縮圧力低下、エンジンバラツキ、加速力低下
推定原因オイル保護性能で保護しきれなかった部分で磨耗損傷が進行して発生する
C:IN・EXバルブとバルブシートとの当たり面劣化や磨耗による圧縮漏れ。
推定原因燃焼により燃焼室で発生したカーボンが挟まったり、走行距離(使用時間)の増大により自然と磨耗は進行する。なぜならばバルブシートとバルブ当たり面の磨耗を保護する働きは、エンジンオイルではなく燃料によって行われているから保護性能に限界が出てくる。また大きな問題点は燃焼が悪いと、黒煙が出てカーボンが燃焼室やバルブに蓄積され悪影響が出てくる。より完全燃焼に近い良好な燃焼が行われているとカーボン発生率は減少し、バルブ当り面付着も減少するため密閉度不良発生は抑制される。
D:タペット(HLA・油圧自動隙間調整タペット)から異音発生
オイル管理が悪かったり、粗悪な性能のオイルを長期間にわたり使い続けることにより、必然的にエンジン内部にスラッジが蓄積され、小さなオイルタペットのオイル穴通路を塞いでしまう。また内部に空気が溜まったり元の部品の出来具合が悪かったりと、様々な原因によりHLAが正常に作動しなくなり大きな異音発生に至る。添加剤投入やエンジン内洗浄作業、フラッシングオイルによる洗浄などで運良く回復するケースも見受けるが多くの場合は一度カムシャフトを取り外し、壊れたHLAを交換することで再び正常に使用できる場合が多い。添加しても異音が消えないので「効かない効果が低い」と評価するのは見当違いな話である。
E:タイミングベルト断裂
タイミングベルト定期交換は通常10万km毎交換が一般的であるが、一部高性能車は2万km毎交換と言われている車種もある。また10万kmに満たなくても突然切れてしまい、走行不能に陥るケースも耳に入る。そもそも、こんなに重要な部品が切れること自体が重大問題であり、場合によっては重大事故の原因となる。コストが掛かってもタイミングチェーンに戻して欲しいと願う自動車好きは私だけであろうか。逆に言えば限られた予算(材質)で、可能な現代の技術力で最大限可能な耐久性が10万kmということになる。果たして生産台数の何%の人がタイミングベルト交換を実施して乗り続けるのであろうか興味は尽きない。
F:補機類の故障
ウオーターポンプ&ラジエター&ホースなどからの冷却水漏れでオーバーヒート発生。気づくのが遅れるとエンジン内部に大きなダメージを与えることになり、シリンダーヘッドガスケット吹き抜けなどの原因となってしまう。走行距離が増大するとオルターネーターのベアリングやブラシ磨耗による発電不良、燃料ポンプ内部磨耗による燃圧低下など様々なトラブルが発生するが、新品部品交換で簡単に回復できる。

上記内容を分析するとA、B、Dはオイル性能やオイルメンテナンスに関係していることが明らかとなってくる。反対に、どんなにオイル潤滑性能を高めても、オイル潤滑性能に関係しないD,F項目のトラブルを助けることは出来ない。またCはオイル性能の優劣が燃焼に深く関わってくるので、間接的に影響が出てくる。
 エンジンは精密機械であり、一般人が想像しているほど切粉が発生する訳ではない。20万kmを経過してもオイルの潤滑性能が高ければ磨耗がほんの少し進行していたり汚れが蓄積したりしているだけである。しかしギヤを用いたマニュアルミッションや、FRのデファレンシャルはその構造上、新品直後は沢山の切粉が発生する。これは今の工作技術では理想的な歯当たりを完全に作りきれていないことを意味している。特にデフ(FR方式)のリングギヤとピニオンギヤの歯当たりは、使用する過程の中で良好な当たりが作り出されることになる。よって作り出された良好な当たりを維持・継続することの出来るように、高性能オイルで保護することが重要となってくる。
戻る



 
10−2:年々進化を遂げ熟成されてゆく新現象

 ここでは理論よりも実際に20万km走行の詳しい燃費DATAを公開する。
車種:日産セレナ(2000ccガソリン・フルタイム4WD、AT) 主な使用場所=岡山県内  
状態 燃費
新車 市街地:5.0キロ 高速:6.0キロ
この間で高性能添加剤を使用
6ヵ月後 市街地:6.5キロ 高速:7.0キロ 
3年後 市街地:7.0キロ 高速:8.5キロ
10万km 市街地:7.4キロ 高速:8.5キロ
20万km 市街地:8.7キロ 高速:9.8キロ
「古い車は故障するし多大な出費をする」という考えは、使用するオイルとメンテナンス(点検整備を実施と定期交換部品の交換)の内容次第で正しいとも間違っているとも言える。エンジン、AT(又はCVT,MT)デフ、トランスファー、エアコンなど大きな出費を伴う部分さえ壊れなければ、確実に修理したほうが出費は低い。自動車を買い替える際の諸費用は年々増大し、今や1台買い換えるたびに何十万円の出費を伴うことになる。300万円の車を購入してもナンバーを取得し、事情があって売りたいとなれば200万前後に下がってしまう。多少、高価なオイルやメンテナンスに投資しても十分に元は取れると思うのだがオイルは消耗品だから安物で充分といった考えの人も多い。高価な車でも安価な車でも高性能オイルを使用するメリットは予想以上に大きなものがある。なぜならいつの時代にも車はまだまだ高価でありオイルによって耐用年数は大きく左右されてしまうことと理解すべきである。
戻る



 
10−3:常識が覆される世界は理論だけでは生まれない

 「コロンブスの卵」の逸話を引き合いに出して話を進めよう。1492年にアメリカ大陸を発見したクリストファー・コロンブスが1493年に帰国すると、彼の偉業を称え、盛大な歓迎式が開催された。しかしまだ常識的には「地球は丸い」時代ではなかったので「西に向かって進めば陸地に突き当たる筈だ」と彼を非難した。するとコロンブスは机の上の卵を指差し「誰かこの卵を机の上に立てることができますか?」と静かに尋ねた。結局、誰も卵を立てることができず、中には怒り出す人も出る始末。最後には「おまえにはできるのか?」とコロンブスに詰め寄った。するとコロンブスは卵の底をテーブルで軽く叩き、凹ましてから立てたのである。
 新しい発見などは全く違う実験の副産物として生まれることが多い。最初からそれをテーマに長年追求し、理論を確かめたり構築して導き出される場合もあるが、それには多くの時間と研究開発費用が必要になる。

 その時代の常識は、その後の技術の進歩や新たな研究・発見で覆される、そして新たな世界が幕を開ける。これは企業レベルの場合もあり、個人レベルの場合もある。もちろん、まだオープンにされていないアーキテクチャーすら存在している。ここでは私が発見した従来の常識を説明する。
A:エンジンから振動が出るのはバランスではなく燃焼の悪化(ふぞろい)が原因。
補足説明:エンジンの各気筒で行われる爆発(燃焼)は毎回ベストな状態ではなく、ばらつきが発生している。各種悪化条件により燃焼のばらつき度が大きくなり結果的に振動も大きくなってくる。失火が酷くなると、直列6気筒搭載車(シルキー6)でさえ水平対向搭載車の如く、独特の音を発する。燃焼を改善することにより振動は激減する。
B:コンロッドを研磨しなくとも、それが原因で折れることはない。
補足説明:子メタル(コンロッドメタル)が焼きつくとコンロッドに大きな負担が掛かり折れることが多い。コンロッド強度不足で折れるケースは通常発生しない。
C:純粋なレーシングカーはコンロッド研磨などしない。
補足説明:H形状の削り出しコンロッド仕様がほとんどなので、重量の狂いもほとんどなく仕上げ面も綺麗なので、研磨や重量合わせは、ほとんど必要としない。
D:純正が一番ではない。
補足説明:別項目でも再三説明したように、純正が一番とは言い切れない。純正の潤滑レベルでは役不足となる状況も多く発生し、その際にはそれを補う高性能(コストアップにはなる)の代替も必要である。耐久性にも大きく影響を及ぼす。
E:ポート研磨は段差修正作業である。
補足説明:研磨という言葉から受けるイメージはピカピカ・ツルツルといった表面を連想させる。だが、ポート研磨に求められるのは形状変更であり、段差修正がポイントとなる。
F:ポートを太くして馬力が出ても速くはならない。
補足説明:吸入ポートを拡大研磨すると、ベンチでの馬力測定では高い馬力を発生するが、実際に走行するとトルクとレスポンスが悪化してしまい結果的に遅い車になる。
G:オイル潤滑性能が高まると車両性能は走行距離10万km超えてもなお向上を続ける。
補足説明:数多くの実例により導き出された結果である。(11−REPORTを参照)
H:切粉が出るのはオイル性能が不十分である結果である。
補足説明:高性能潤滑剤(オイル・添加剤)により、切粉発生率は大幅に減少させることが可能となった。完全にゼロにすることは難しいが、更に技術が進歩すると、最終的に切粉発生ゼロも不可能ではない。
I:エンジンから、切粉は出てはいけない。
補足説明:エンジンは構造的に精密なクリアランスと強制潤滑により管理・保護され、実際に切粉が発生してはいけないメカニズムである。現代において、金型の砂落としの必要性は皆無である。
J:潤滑性能が高まるほどメカニカルノイズは小さくなる。
補足説明:潤滑性能を高めればメカニカルノイズ減少が明らかとなってくる。同時に油温上昇率も比例して低減してゆくことからフリクションが低減してゆく。
L:オイル粘度0Wは日本では必要がない。
補足説明:10W表記のオイルはマイナス約23℃までカバーする冷間始動性を示す。日本では北海道・釧路地方がこれに当てはまる。そこから見えてくることは5Wになればマイナス33℃をカバーするので0Wを必要とする地域は存在しない。10Wから5W、5Wから0Wと冬季始動性を高めるほどオイル寿命がスポイルされる傾向を示さなければ良いのだが始動性は一瞬で終わるのに比べ持続性は長期間なので、どちらが重要かは言うまでもないだろう。
M:0W−20は低燃費オイルではない。
補足説明:確かに実験室では省燃費の結果が出る。しかし、ハードユースに対しての耐久力は低く、結果としてダメージ蓄積進行や油温上昇などにより摩擦が増大。最終的には燃費悪化を引き起こす恐れがある。オイル交換直後の初期性能ばかりに目を向けがちであるが使用を続けてゆく中での継続性能に目を向けて省燃費が継続されているかを今後も検証する必要性を感じる。
N:エンジンの燃焼の善し悪しでギヤ入りは影響を受ける。
補足説明:添加剤をはじめとした、各種燃焼向上アイテムの使用により燃焼が完全燃焼に近づくと、エンジンアイドリングが安定する。すると1速、リバースギヤの入りは改善されることがある。これはエンジンアイドリング回転数が不安定であるから同調(シンクロ)作用が妨げられギアの入りが悪くなっていることの証であり、燃焼向上によって改善されるからである。
戻る
第十一章 気持ちよく走ろう、結果が全てを物語っている